クマムシ

タイトルの「クマムシ」って何か知っているだろうか。名前に「ムシ」とあるが虫、つまり昆虫ではなく、4対の肢(あし)を持つ「緩歩(かんぽ)動物」という部類に分類されている。緩歩動物には現在のところクマムシしか属さないが、クマムシだけで約1,200種類も確認されている。節足動物(カニ、クモ、ダンゴムシなど)や線形動物(センチュウなど)と近縁だと考えられている。

このクマムシが注目されるのは、そのスーパータフネスぶり、ほとんどどんな環境でも生きていると言う点。

もちろん、太陽表面と言うような温度の高い環境では無理だが、月の表面や火星でも生きられるらしい。

次に引用するのは、読売新聞夕刊のコラム、「辛酸なめ子のじわじわ時事ワード」、2019年9月18日の記事。

(前略)イスラエルの月面探査機ベレシートが、4月に月面に墜落すると言う残念な出来事があったのですが、地球のある生き物を月面に到達させることはできたようです。それは、クマムシ・・・。

サイズは1㍉前後と極小ですが、地球最強の生命体と呼ばれる生き物です。クマのようにノソノソ歩くことからクマムシと呼ばれています。(英語名はwater bear)。

かわいいのかキモいのか、見る人によって評価が分かれそうなクマムシですが、人間よりもタフであることは間違いありません。高温、低温、乾燥といった苛酷な環境でも生きられる適応能力の持ち主。

放射線にも耐え、真空でも生き延びられるとされています。

そんなスーパー生物、クマムシが数千匹、探査機とともに月に向かいました。探査機はクラッシュしてしまいましたが、クマムシは、3000万㌻分の人類史のデータを収めたディスク、人間のDNAサンプルと一緒に月に到達したそうです。仮死状態のクマムシは、水分補給すれば蘇生も可能です。縁起でもない話ですが、人類史の情報やクマムシ、人間のDNAが、地球人類の滅亡後に活用される事が想定されているようです。

クマムシやディスク、DNAをパッケージした保存記録を製作した、非営利組織(NPO)「アーチ・ミッション財団」の共同創業者、ノバ・スピバッグ氏は、「遠い未来、人類が滅びた後に未来の知的生命体がこれらを回収してくれるかもしれない。DNAや細胞を使えば、クローンを再生できるだろう」と話しています。

ちなみにクマムシは生物のDNAを取り込むことができる特異な生き物として知られています。未来には月面でDNAが合体し、人間の顔がクマムシの体についているとか、逆にクマムシの顔で体が人間といった宇宙生命体が繁殖しているかもしれません。月を見る度、想像が広がります。

 この記事はいつかブログのネタにと言う事で切り抜いておいたものだ。いやはやなんともおぞましい話ではないか。

顔が人間で体がクマムシ、その逆に人間の体にクマムシの顔。想像するだけで恐ろしい。

この話で思い出すのは、昔見たヒッチコック劇場と言うテレビ番組で確か「恐怖のハエ男」とかいうエピソード。

人間を遠隔の地に転送する装置を発明した男。物体での転送実験に成功したので、自らを転送すべく装置に乗り込む。

ところがその装置に小さなハエが潜り込んだことに気が付かない。

そして転送。装置から出てきたものは、体が人間で顔がハエのハエ男だった。同時にこの装置から飛び立った小さなものがある。

それはハエの顔の部分が人間というハエ人間。

さいころ、テレビ番組で見て、その恐ろしさに震え上がった記憶がある。

クマムシの話はまさに異種生物の合体のおぞましさを思い起こさせるものだ。

月を見るたびにそうした想像をするというコラムの筆者。一体どういう感覚をしているのか。