ハザードマップ

今日は読売新聞の投稿欄、「発言小町」の7月10日夕刊に掲載された記事を取り上げてみる。

トピ

ハザードマップの危険区域

1歳半の子どもがいる息子夫婦が引っ越しをすることになりました。息子の配偶者が希望している賃貸物件は、ハザードマップでかなり浸水すると予測されている地域にあります。息子が指摘しても「子供を遊ばせられる広い川辺や公園があっていい」と、希望を変えないそうです。その地域とわたしの家は車で20分ほどの距離ですが、大雨の度に避難勧告が出るのは心配です。危ないとされる立地を避けないことが理解できません。(梅雨入り) 

 上記のようなトピに対して代表的なレスを挙げてみる。

レス

息子さんご夫婦に決めさせる

お姑さんは、余計な口出しはしない。あなたが住むわけではないのですから、あなたの考えは関係ありません。心配する気持ちは分からないでもありませんが、息子さんご夫婦にまかせましょう。(のん)

自分は大丈夫だと思っている

1000年に一度あるかないかの大雨の被害に自分が遭うはずがない、と思っているのだと思いますよ。息子さんの妻は、環境や間取りなど住みやすさが優先と思っているのでしょう。あとはもう、息子さん夫婦の問題なのではありませんか。(飴玉)

灯台下暗し

あなたのお住まいは浸水被害について安全な立地なのですよね。それなら、そこをシェルター(避難所)として、息子さん夫婦に提供できませんか?大雨に伴う災害は、自治体や気象庁から事前に様々な警告メッセージが発せられます。そのタイミングであなたの自宅への避難を早めに呼びかければよろしいでしょう。(コールドブラッド) 

 ハザードマップ。大雨のときに、どのような災害を受けるかを予測した、それぞれの自治体が発表している地域の地図の事だが、言葉として聞いた事があっても実際にこれを見たことのある人はどのぐらいの割合だろうか。住民の多数派ではないのは確実だろう。

住む場所を選ぶにあたって、ハザードマップ上の危険区域かどうかを考慮に入れる人となるとかなりの少数派になると思う。

トピ主さんは、たぶん、現実に水害などの災害に見舞われた人を知っていて、そうした人の話から、水害危険区域に住む事の危うさが心配なのだろう。

レスの一つにもある「自分は災害には遭わない」と言うような心理のことを「正常性バイアス」と呼ぶが、これは日本人の場合、ほぼ全員が陥る心理状態で、こうした人に災害の危険性を指摘してもまともに反応しない。

トピ主さんができるのは、3番目にあげたレスのような事ぐらいだろう。

ちなみにわたしの住む地域は、ハザードマップで市内でも最大級の洪水被害の可能性がある地域になっている。近くを流れる川が氾濫した場合の推定水位は5m。家ごと流される可能性もある。

現実に、過去10年間の間に避難勧告が二度も発せられている。

そんな地域にもかかわらず、この地域に移り住んでくる人はいくらでもいる。

たぶん、ハザードマップの事など、土地の購入や家の建築の際にも一顧だにしなかったと思われる。

私が転居するとしたら、今住んでいる地区は絶対に選ばない。危険を避ける事を第一優先に考えるからだ。

しかしこういうタイプは上に超の字の付く少数派だろう。