8月の別れ 6

アワやヒエなどの混合飼料をなかなか食べてくれないので、ホームセンターで見つけた「粟の穂」という商品を試しに部屋のあちこちに置いてみた。
そうしておいて子スズメ2羽を部屋に放したところ、これはたいそう気に入ったようで、しばらくして穂を調べてみたところ、かなり食べた様子が見て取れた。
「粟の穂」以外にもちょっと赤っぽい色をした「赤粟の穂」というのも同じHCで売っていたのでこれも試してみると、「粟の穂」以上に気に入ったらしく、あっという間に食べつくした。
穂についたままの粟というのは、自然状態により近いわけで、これがスズメの本能を刺激するのだろう。
どうやらこれで、この子スズメたちを外に放しても暮らしていけるという確信ができた。
二羽目のチュンチュンを保護してから一か月余り、梅雨が明けるころには、外に放すかどうかを決めなければならないと思っていたころ、斜め向かいのお家から、またまた子スズメが親を呼ぶ声が聞こえてきた。
そのお家の塀のあたりをうろついて、中から聞こえてくる子スズメの声に耳を澄ませていると、お家の方が出てこられたので、チュンチュンの時と同じように、事情を話して庭に入れてもらったところ、思った通り、塀のすぐ近くにうまく飛べなくて親を呼ぶ子スズメが一羽。
で、今度はうちから麦わら帽子を持ってきて、これで子スズメを捕まえた。
三羽目の子スズメにはスズという名前を付けた。
スズにも、ピーコタンやチュンチュンの時と同じように、保護一日目は小さな箱に入れて、エサはくちばしをこじ開けての強制給餌。
それが終わると、チューブ付きのシリンジでヒナ用の流動食。そして、竹べらを使っての差し餌。
一連の手続きが終わるころには梅雨も明けていて、スズメがいる部屋は3羽の子スズメが飛び回るという状態になっていた。