8月の別れ 7

7月も終わり近くなると、最後に保護したスズも他の二羽と同じように部屋の中を飛び回れるようになり、エサも部屋に置いてある「粟の穂」を自分で食べるようになった。
3羽の子スズメは親も違うし、生まれた日も違う。
それでも、同じ場所に出同じように暮らしていると、いつのまにか同腹の兄弟のように、いつも同じように行動するようになった。
もう私が名前を呼んでも一切近づこうとはしない。三羽うちそろって部屋を飛び回り、同じようにカーテンレールに止まる。
しかし、よく見ると最後に保護したスズだけ、カーテンレールにうまく止まれない。
というのも、スズの両足の指は、そのうちの二本が癒着していて、指の曲げ伸ばしができない。
当然、止まり木には止まれない。カーテンレールだとカーテンがあるため、何とか滑り落ちずに済むが、ほかの場所だとピーコタンやチュンチュンがうまく止まれるところでも止まれずに一羽だけ別の場所を探して止まる。
このことで、三羽を外に放すかどうかの決断がつかずにいた。
兄弟として育ったからには、放すなら三羽同時に放してやりたい。しかし、スズの足の状態からすると、外で暮らすには障害が大きすぎる。
木の枝にとまることができないスズメが問題なく外で暮らしていけるとは思えない。
かといって、スズだけ残してほかの二羽を外に放すというのは、何とも気が引ける。
外に放さず、かごの鳥として飼い続けることはできるが、すぐ外に自由に飛び回っているスズメたちの声が聞こえる部屋で、義兄弟ともいうべきピーコタンやチュンチュンとも別れて暮らさせるのは何とも忍びない。
一体どうすればいいのか、決断がつかないまま8月になってしまった。