前回記事からちょっと間が空いてしまった。書きたいことはさまざまあるのだが、家庭の事情でゆっくりとパソコンに向かい合い時間がなかった。と、自分にも言い訳してみるる。
今回もウォーキングに関することを書いてみる。私の場合、河川沿いの遊歩道を犬を連れての散歩で、歩く速度は時速4kmちょっと。全然早くないゆっくり散歩。
さて、健康効果を謳うウォーキングに関するネット上や雑誌などの情報を見ると、そのほとんどが普段の歩きよりもかなり早い速歩を勧めている。その速度、時速7kmぐらい。
ちょうど一週間前のNHKの情報バラエティー番組「あしたが変わるとりせつショー」でもこの速度を勧めていた。
このときの番組副題が「あしたが変わるトリセツショー1日1分から!筋トレ不要の簡単アンチエイジング術」というものだった。
NHKプラスが設定されていれば、見逃し配信で番組を全部視聴できるから参考になる。
内容をかいつまんで言えば、通常よりかなり早い速度で歩くことで、脚部の筋肉、とりわけ、太股前側の大腿四頭筋に負荷が大きくかかり、筋肉量のアップにつながるという。
さらに筋肉に2種類あって、その中の「速筋」が太くなることで筋肉量のアップになると説明していた。
「速筋」は別名「白筋」とも呼ばれ、瞬発力と、そのときに発揮する筋力の大きさに特徴があり、別名アスリート筋。これを集中的に鍛えることでいわゆる「ムキムキ」の体にもなれる。
ここで、ちょっとした番組へのツッコミを述べてみると、番組副題にあった「筋トレ不要」という部分。速歩という、ややきつめのトレーニングで、しかも、負荷をかけるのは「速筋」。これ、「筋トレ」と全く同じコンセプト。筋トレ不要といいながら、やることは筋トレそのもの。
筋トレのいいところは、トレーニングによる、筋肉量が増えていくことが筋肉量測定などの専門計測器を使わなくも体形が目に見えて変わってくる点。
これがモチベーションの維持に役立つから長くトレーニングを続けることも容易になる。同じことが速歩にもいえるだろう。
しかし、わたしは筋トレ、あるいは速歩で速筋を鍛えることは必ずしもアンチエイジングにつながらないと考えている。
速筋は鍛えることで量を増やすことができるが、その際に、筋肉を増やすための栄養素が必要になってくる。その栄養素はタンパク質。
筋トレにはまって、ムキムキを目指す人ならば、その摂取量、摂るタイミングなど、どんどん専門的にエスカレートしていき、日常全体が筋肉増量のために過ぎていくなどということも起きてくる。
速筋は鍛えて太くなるが、太くなることを継続していくには、どんどんと負荷を上げていかなくてはならない。
同じ負荷のかけ方だと、増量はストップしてしまい、トレーニングのモチベーションであったものがなくなってしまう。
それでトレーニングを止めてしまうと、あっという間にもとの体形に逆戻り。負荷をかければ太る筋肉は、負荷をかけるのを止めると痩せてしまうからだ。
かといって、負荷を増やし続けなければならないトレーニングというのは、それ自体がリスキーだ。
高齢者には大きな負荷をかける運動は事故の元。アンチエイジングどころか取り返しの付かない事故を起こして寿命を縮めることも十分ありうる。
実は、私は若い頃、ボディビルにはまって、何年間かトレーニングを続けたことがある。その頃の私の目標はフランク・ゼーン。今もネットでその勇姿を見ることができる。
不世出と言っていい均整の取れた美しいボディ。今見ても惚れ惚れする。
しかし、何年間かのトレーニングの後、私は筋トレをやめてしまった。負荷が大きくなるにつれ、体のあちこちに故障が起きたからだ。
特に腰の筋肉の肉離れ。これは筋トレを止めてからも長期間に亘って私を悩ませ続けた。
弱点となってしまった腰の不調。それを軽減してくれたのが、ゆっくりウォーキング。
トリセツショーで言及のあった「遅筋」こそが腰痛防止の決め手だったのだ。
大きな力は出せなくても、持久力にすぐれ、長い時間のウォーキングにも良く働いてくれる遅筋こそ、トレーニングの対象にすべきものだと思う。
ただ、そのトレーニングは時間がかかる。持久力走の代表はマラソンだろう。マラソンの選手はいずれもほっそりとした体つき。脚も筋肉質ではあっても太くない。
それは持久走に必要な筋肉が「遅筋」だからだ。
そして、そのトレーニングにはマラソンのトレーニングに時間がかかるのと同じで時間をかけてする必要がある。
私の場合、犬の散歩を兼ねたウォーキングは約1時間半。途中で川の遊歩道に設置されたベンチでストレッチを入念に行うから、総計2時間の散歩になる。
遅筋を鍛えるためのウォーキングにプラスしてストレッチ。これこそがアンチエイジングにつながると思っている。