新たな子犬たち19

5月11日の深夜から、日付の変わる12日にかけて、まとまった雨が降ったらしい。らしいというのは、床に就くときに降っていた雨は、それほど強いものではなく、眠っているときに雨が強くなったことを次の日になって人から聞いて知ったからだ。
最近、中州に暮らす野犬のグループの一匹のメスの姿が見えなくなっていたので、ひょっとすると、どこかで出産したのではないかと思っていた。
だとすると、生まれたばかりの子犬にとって、川の増水は、大変危険な状況だ。ちょっと気になったので、12日の午後になって川の様子を見に行くことにした。
堤防の上の道を自転車で行くと、増水した川が中州をほとんど水浸しにしていた。雨が一番激しかったときには、中州は完全に水没していただろう。

  • 5月12日に堤防で発見した子犬(2011年5月13日撮影)

そして、堤防をおよそ2kmほど行ったあたり、少し前、チャウを発見した川の中州からすぐ近くで、姿が見えなくなっていたメス犬が、草むらに寝そべっているのを発見した。
メス犬のそばには、まだ生まれて一週間もしないと思われる子犬が二頭いた。
手のひらより少し大きいくらいのその小犬たちは、まだ目も開かず、じっと動かずにいた。
母犬は、私が近づくと、立ち上がって、子犬のそばから離れた。別段私に向かって吼えるでもなく、かといって、逃げ出すというわけでもなく、私の様子をやや離れたところから見ていた。
さて、発見した子犬をどうするか。あまりに小さい子犬を連れ帰って育てることが出来るか。かなり迷った。
しかし、これまでと同じように、連れて帰ることにした。出会ったそのときが、唯一の保護のチャンスとみて間違いない。
子犬を一頭ずつ、自転車の前かごに入れた。母犬は何もせず、じっとその様子を見ていた。顔なじみになっているからだと思うが、こうした状況では、私に子犬を預けたほうが賢明だと知っているかのようだった。