新たな子犬たち20

堤防で発見した子犬は、生後間もないので、しばらくはミルクだけで育てることになる。
これがなかなか大変なのだ。一日に最低でも8回ぐらいの授乳が必要で、そのうち二回は夜中の1時から5時の間に与える。子犬には昼も夜もないわけで、お腹がすけばミルクを欲しがる。昼の間にたくさんミルクを与えて、夜中に欲しがらないようにするというわけにはいかない。小さいうちは、一度与えることの出来るミルクはほんの少しで、これを回数をこなして、一日あたりに必要な量を与えなければならないのだ。
連れ帰った日から二、三日はこちらの寝入りばなを何度も子犬のキュンキュンいう声に起こされて、完全に寝不足になってしまった。

  • ナイトと名づけたオスの子犬(2010年5月23日撮影)


今日、5月23日で、連れ帰って十日以上が過ぎ、子犬たちの体重は最初のときのちょうど倍の1kgになっている。
ミルクの回数も、一日5回ほどで、夜中の授乳はそろそろ必要なくなるかと思う。ようやく夜の睡眠を邪魔されなくなるだろう。
ところで、発見した子犬は二匹しかいなかったが、二匹を産んだ母犬は以前に保護したタロやジロを生んだ同じ母犬だ。このときの子犬は全部で七匹いたから、今度も同じぐらいの数の子犬を産んだと思われる。
それでは、保護した二匹以外の子犬はどうなったのか。おそらく、母犬が川の中州から連れ出す前に、増水した川の水にさらわれてしまったのであろう。

  • マーブルと名づけたメスの子犬


母犬にしてみれば、避難場所は川の堤防しかないが、そこはたくさんの人間が通る自分自身にとっても子犬にとっても危険な場所だ。
最後の決断をしたときには、もう生んだ子犬全部を助けることが出来ないぐらい川の水が増水していたのだろう。
必死の思いでやっと助けることのできた二頭の子犬を、母犬から掠奪することになるわけで、最初に保護をためらったのは、そのことが頭をよぎったからでもあった。