怖くない怪談

オリンピック関連の番組で埋め尽くされたNHK。昼間の番組に、夏になるとどこからともなく現れるタレントが出演していた。夏定番の怪談話ということなのだが、これがちっとも怖くない。
話がほとんど聞き取れないので、怖いも何もあったものではない。
聞き取れないのは私だけかと、ネット検索で、彼の名前を入れて、 「ききとれ」まで入力したら、例の先読み機能で「聞き取れない」が表示された。
これで検索すると、やはり相当な数がヒットする。若い人でもそういう人がいることにちょっと驚いたが、聞き取れないのは私だけではないことに一安心。
数年前に、メニエール病を発症してからは、一段と聞きづらさがまして、Iの語りはいまやただの雑音。
窓の外で、けたたましく鳴きまくるクマゼミの音が干渉して、Iの話を聞き取ろうという気力が起きない。
夏の怪談といえば、もう亡くなってしまったが、三遊亭圓生。私が知っているのは六代目。その六代目圓生が語る牡丹灯篭は絶品だった。
もう一人、こちらも六代目の一龍斎貞水。彼の語る真景累ヶ淵は、少年だった私の心胆をも寒からしめた。
貞水は今も健在で、今年も各地で講演会が開かれる。
以前はテレビ出演もあったと思うが、最近はテレビではトンと見かけない。
幸い、圓生の語りは録音テープが市販されているようだし、貞水は健在だから、講演会に出向けば、その語りに触れることができる。またDVDが市販されているので、そちらでも十分、怖さを堪能できるだろう。
これら名人、上手の怪談話を知らずして、怪談を語るなかれ。