白いネコ現る1

その猫を最初に見かけたのは7月の二日か三日のことだったと思う。
二階の窓から、北側のお家の庭が丸見えなのだが、その庭を横切る白いネコ一匹。
足取りが外を歩きなれている野良猫のものではなかったので、どこかの飼い猫かと思ったが、それにしては首輪がない。
ひょっとすると迷子ネコ?そうは思ったものの、次の日もその次の日も、その姿を見ることはなかった。
最初の目撃から、三日か四日ほどしてから、いつもの河川敷遊歩道の夜の見回りに出かけたときのこと。
河川敷道路を走り始めて、少ししたとき、川の中州の葦の草むらから一匹の猫が飛び出してきた。
あっという間に走り去った後姿しか見えなかったが、数日前にお隣の庭で見かけた白い猫ではないかと思った。
そして、さらにその二日後、なんとなく、同じ場所でその猫に出合うような気がしたので、キャットフードを持参して、夜の見回りに出たところ、予感は的中、前方から、ゆっくりとした足取りで白いネコがやってくる。
そこで、持参したキャットフードを道路において、いったん後戻り、どうするか遠くから見ていたが、餌は食べずに、猫は姿を消した。
その後、その近くの堤防のノリ面にたたずむ、白いネコを何度か見かけた。見かけるたびに持参したフードを道路に置いていたら、先週の金曜日には、河川敷道路をやってくる私の待っていたらしく、堤防のノリ面にその白いネコはいた。
持ってきたフードを置くと、もう躊躇することなく、こちらに近づいてきた。