白いネコ現る2

最初にその姿を見たときの印象どおり、このネコは最近まで誰かに飼われていたのだと思う。生まれ付いての野良だと、自分から人間に近づくことはありえない。
持参していたキャットフードを道路上に置くと、躊躇することなく食べ始めた。
餌を食べ始めたのを見て、急いで帰宅することにした。
それというのも、あるスーパーで自宅からいなくなった白いネコの目撃情報を求める張り紙を見ていて、添えられていたネコの写真が、河川敷に出没する猫かもしれないと思っていたからだ。
張り紙には連絡先の電話番号が記してあったので、スーパーのレシートに書き留めておいた。
その連絡先に、電話してみようと帰宅を急いだのだ。
張り紙が張られていたスーパーというのが、以前に「捕獲器」という題名で記事にしたことのある、ある事件に関する張り紙が張られていたスーパーだ。
ネコがいなくなったお宅の住所は、白いネコが出没する河川敷からは2kmほども離れていて、途中にはいくつもの道路がある。
いくらなんでもその距離を迷子の猫が移動したとは考えづらいのだが、ひょっとしてということもある。
電話を掛けてみて、白いネコがA川の堤防にいるからこちらに来て、お宅のネコかどうか確認してもらえないかというと、驚いたことに、その家族は以前、猫が出没する場所、つまり私の住んでいる場所からほんの目と鼻の先に、住んでいたことがわかった。
これは本当にひょっとするとひょっとするぞという期待が沸いてきた。