日本人の英作文2015-5

「つばめのつんちゃん」の4回目。課題箇所と訳文の例はつぎのとおり。

つぎの日、ふたりは、つばめの巣の下に、1羽のひなが落ちているのを見つけました。
「ひろみせんせい!たいへん、たいへん!つばめが落っこちている」
訳文1
The following day, the two girls found a young swallow under its nest.
"Hiromi-sensei, come and look. A swallow has fallen out of its nest."
訳文2
The next day, the two girls discovered a chick swallow lying on the ground just below the nest.
"Hiromi Sensei! Come and see. A chick swallow has fallen from the nest."
訳文3
The next day, they found a baby bird falling down under the nest.
"Mis Hiromi! Good God! Good God! A swallow fell down."

訳文1と訳文2は別の人による作文。しかし表現はほとんど同じ。
全体としてこれで問題はないように見える。
訳文3は上記二つの訳文がほとんど同じなので、もうひとつ別の訳文を挙げてみた。
この訳文の第一文目、"falling down"の部分が問題。
この表現だと、まさしくヒナが落ちようとしているところか、落下途中を目撃したことになる。この部分は完了形しておく必要がある。
こうなったのは、元の日本語が「落ちているのを見つけました」とあるからだろう。
日本語の「〜ている」は中学段階で進行形と対にして覚える。
しかし、「〜している」に対応する英語の時制は少なくとも現在形、現在進行形、現在完了形の3つがある。また、「〜していた」は過去形、過去進行形、過去完了に対応する。
日本語の表す内容をよく考えないで,「〜している/していた」だから進行形にするでは正しい英語にならない。
原文の状況はもうすでに巣から落ちて,地面に横たわっているヒナを子供たちは見つけたのだ。
したがって、動詞fallを使うのだったら、完了形に,その結果として横たわった状態を表現するならlieを進行形で用いるのが正しい。
訳文1は、その辺を面倒だと考え,「落ちている」を意図的に無視したのだろう。
続いて第二文目。訳文1と訳文2は完了形を用いて正しく見える。
しかし、こういった状況で使うもっと相応しい言い方がある。
それは"there is/are"を使う表現。
私を含め、二つの訳文を作った人たちは中学校でこの表現を習ったはずだ。しかし、この表現をどう状況で使うのが正しいかは習わなかった。
この表現はあるものの存在,あるいはその状況を知った人間が、それを知らない人間に、初めてその事を伝えるときに使う。
そのときに、大事な新情報に言及する前に,枕詞のように,特に意味のない"there is/are"を置くのだ。
訳例であげた"There is a baby bird lying on the ground."は、実際には"A baby bird is lying on the ground."と意味は全く同じだ。
しかし、その前に"there is"を置くのが英語としては自然。
これは英語全体を通じて、大事な新情報は、なるべく文の後のほうに置くという原則、「文末焦点の原則」による。
訳文1,2,3のいずれの作者も、その事を知らないようだ。

訳例
The next day, they found a baby bird having fallen from its nest.
"Hiromi-sensei, come with me. There is a baby bird lying on the ground under
its nest.