赤ちゃんの泣き声=ただの雑音6

「話を聞かない男、地図が読めない女」のは2000年4月に出版されたが、私はこの本の新聞広告を見て、すぐに購入した。
それというのも、この本が出版されるずいぶん前から,大脳にはかなりの性差があるのではないかと思っていたからだ。
そう思うきっかけになるエピソードをいくつか書いてみよう。
1. まずは、自転車の操作。
以前、私は自宅で学習塾をしていて,自転車で家までやってくる生徒が何人もいた。
授業が終わり、帰り支度をしているある女子生徒が,狭い駐輪スペースから,自分の自転車を出すのに苦労している。
頭から駐輪した場合、後ろ向きに自転車をしばらく移動させ、さらにハンドルを切って、自宅方向に自転車を向けなければならかったのだが、まずまっすぐに自転車を後退させるのに苦労している。
ハンドルがちょっとでもぶれると、左右のどちらかに進路が曲がってしまうから、それを修正するためハンドル操作が必要だ。
ところが、後退するときのハンドル操作がうまく行かないのだ。
本人曰く、「後ろ向きだと,ハンドルをどっちに切ればいいのか,全然分からないの」。
勉強のよくできる生徒だったが、頭のよしあしと,こういった方向感覚とでもいうか,そういうこととは無関係なのだろうと、そのときはそう思った。
2. ある狭い道路での出来事。
ある狭く、曲がりくねった抜け道を通っていたときの事。この道はある場所で極端に狭くなっていて,離合が難しい。
そのため、いわばドライバー同士の暗黙のルールで,ある方向から車が来るのが見えたら,反対方向のドライバーは狭小部分の手前で,止まって待つことになっていた。
私は、この止まらなければならない側を走っていた。抜け道をしばらく行くと、前に何台か道路の左側に並んで止まっている。
当然、離合するために、止まっていると判断して,最後尾の車の後ろに,なるべく道路の左側に寄せて停車した。後続の車も何台か,私の後ろに同様の停車をした。
さて、前方からこちらに向かってくる何台かの車が見えた。と思ったら、停車している車の横を後ろから来た一台の車が追い抜いていった。
「おいおい、ここは向こうからの車を通さないと面倒だろう」と思ったが,そんなことはお構いなしのかっ飛び走行。
運転手の姿がチラッと見えたが、明らかに女性ドライバー。
先頭で停車している車を抜こうとするところで,このドラバーは停車した。
前方からは、何台もの車が団体でやってくる。道路は狭く離合など出来ない。女性ドライバーが来た道をバックで、曲がりくねった道を何十メートルか戻るしかないはずだが、こういうのに限ってバックは下手だ。
案の定、女性ドライバーはまったくバックさせる気がない。頑として同じところに止まったままだ。
軍団でやって来た前方からの車の先頭が、停車した。そして、両者のにらみ合いが始まった。
そうこうしているうちに、抜け道の両端からの侵入車がどんどん増えて,数十台が、抜け道を覆いつくす事態に。
それでも、女性ドライバーは車を動かす気配はない。
根負けした軍団側車両のドライバーたちが、目配せで合図を送り,十数台の車の列が,大名行列よろしく,静々と後退を始めた。
その間、時間にして十数分。運転中はちょっとした時間でも、ずいぶん長く感じるものだ。この十数分は、それに巻き込まれたものにとっては半時間ほどにも感じられたはずだ。
自転車のハンドル操作と同じで、女性ドライバーはバックが下手なのだろうと,このとき確信した。