ある英語の選択問題#8

独立分詞構文の検索はこれ以上は行わない。
ごく一部の定型句として存在はするが、主語や動詞を自由に選んで、文頭でも文尾でも自由使えるものではないことがはっきりした。
さて、議論を後回しにした分詞構文の書き換えに関して考察してみる。
文法書には分詞構文は、接続詞と分詞の意味上の主語を加えて同じ意味に書き換えるとしている。
英文法解説(江川泰一郎著)の§231に次のようにある。

(1) 基本型 主文との意味上の関係は、時・理由・付帯状況を表すものが多い。
  Looking down (=When I looked down) from the plane, I could see the east coast of the coral island.
(機内から見下ろすと、そのサンゴ島の東岸が見えました) <時>
Being a farmer (=As/Since I am a farmer), I have to get up early.
(農業をやっているので、早起きしなければならない) <理由>
The typhoon hit the city, causing (=and caused) great damage.
(台風が市を襲い、大被害を与えた) <付帯状況>

一つ目二つ目の例文は、実際にはあまり見かけない、分詞が文頭に来る例。
文尾に分詞が来る場合も、同じように書き換えが出来るか検討してみる。検討するのは#5で出した例文(6)〜(8)。
例文を再掲してみる。
(6) As soon as he got home, Utterson sat down and wrote to Jekyll, complaining of the way his door had been shut against him, and asking the cause of this unhappy break with Lanyon.
(7) And then, before their eyes, the face seemed to blacken, to twist and alter and melt before their eyes, becoming something different, something horrible and frightening.
(8) A cry followed; he almost fell, but seized hold of the table, staring with fixed eyes and open mouth.
まず、(6)の文。
"complaining of the way..."の部分を上記文法書が掲げている時、理由、付帯状況を表す接続のどれを使ってもうまく行かない。
なぜなら、文脈から明らかなように、"complaining"は、Uttersonが書いた手紙の内容を表しているからだ。
もし別の文に書き換えるとしたら、いったん文をピリオドで終わらせ、改めてHeを主語で書くしかないと思う。
つまり、"Utterson sat down and wrote to Jekyll. In the letter, he complained of..."という具合にだ。
(7)の文はどうかというと、これは文法書の三番目の例文と同じ書き換えが出来そうだ。
ただ、この文法書にある<付帯状況>というのは納得がいかない。私はこれは「結果」を表す場合だと考えている。
それはともかく、(7)は"and became..."と書き換えても意味は変わらない。
(8)の場合は、"staring with fixed eyes.."を"while he was staring with fixed eyes"と書き換えが出来る。こっちのほうが<付帯状況>の例に相応しい。
検討した三つの例文のうち、二つが書き換え可能だった。
では、一部例外があるものの、多くの分詞構文が「接続詞+分詞の意味上の主語」の公式で書き換え可能なのだろうか。
このことについては次回で検討することにする。