ある英語の選択問題#11

実際に使われている独立分詞構文の考察に始まり、分詞構文にも検討を加えたところで、結論的なことを言えば、
1. 独立分詞構文は、一部のものが、イディオムのような形式で今も、主に文尾で使われている。
2. 通常の分詞構文は、文頭、文中、文尾のいずれでも使われるが、文尾で使われることが圧倒的に多い。
3. 新聞記事、評論文などで使われる分詞構文は、文法書の説明には当てはまらないものが多く、いわゆる書き換え公式が当てはまらないし、そもそも分詞の意味上の主語が主文の主語とも一致しない。しかし、その意味するところは容易に理解できる。
以上のような観点で、表題の「ある英語の選択問題」を改めて振り返ってみることにする。

英文
Eventually, [    ] of the atomic nature of matter, it was finally realized that magnetism and electricity were not separate phenomena.

選択肢
A. science when it became aware
B. when science became aware
C. science becoming aware
D. becoming aware of the science

選択肢AとCは問題外として、選択肢Cが「独立分詞構文」として理解すれば、選択可能ではないかというのが質問の内容だった。
前にも述べたが、選択肢Cを入れて、その意味するところがすんなりと理解できるのか。
私の理解では、分詞構文の要点は、省略技法のひとつで、省略されたものが明白に推測できないような使い方はすべてNGだ。
実際の独立分詞構文や、分詞構文の使い方を無視して、文法書にあるような説明を鵜呑みにした理解で、選択肢Cを選択可能ではないかとする感覚そのものがおかしいといえる。
この質問者はおそらく、TOEFULのスコアを上げるため、問題集などを中心に英語の勉強はしていても、英語の物語、小説、新聞記事、さらには評論文などを毎日のように、幅広くは読んではいないのだろう。
もしそういう積み重ねがあるのなら、上記のような質問はしないと思う。文法書の説明も実際とは大きく隔たっていることに気づくはずだからだ。
とちょっと上から目線でえらそうなことをことを言ったが、実は私も以前は文法書の説明を金科玉条のものとして信頼し、その説明で英文を理解しようとしていた。
しかし、その説明ではなんとも腑に落ちない分詞構文と思えるものが、TIMEや、NewsWeekNew York Times紙などの記事を読んでいると次々出てくる。
そのたびにいくつもの文法書を当たってみるがやはり納得がいかない。
そこで、いつかは理解できるかもしれないということで、そうした納得の行かない文をその当時は、ワープロを使って、ファイルしておいたのだ。
評論文の分詞構文としてあげたものは、すべて当時にファイルしたものだ。
漫画「ピーナッツ」の作者シュルツ氏が亡くなったのは2000年2月12日。例文としてあげたものは、同年のロイター配信記事からのものだ。
この当時は、様々な英字新聞、雑誌の記事を毎日のように読むことに悪戦苦闘していた。文法書に書いてあることを武器にすれば、理解が出来るはずと思い込んでいたころだ。
その後、大量の英文を読んだ後になって気がついたことは、文法書に書いてあることには、実際とは異なるものが少なくないこと。全く言及されていないが、英文を理解するうえで、非常に重要なことも少なくないことなどがだんだんわかってきて、そのあたりから、文法書さらには英和辞典を頼りに英文を理解しようとは思わなくなった。
実際の英文を大量に読む体験を通じてしか、英文を理解できないことがようやく分り始めたころだった。