絶滅種#6

他にも私が持っていないものをいろいろ考えると、カーナビだのSNSのアカウントだの、それからリズム感だとか、楽器演奏の才能、絵の才能など挙げればきりがない。
まあ、こういったものは持っていない人もかなりいると思うので、際立った少数派ではないだろう。
はっきり少数派だと思うのは、携帯電話を持っていないこと。
これも保有率を調べてみた。すると私の年代だとスマホなりガラケーなり、移動型通信端末を持っている人の割合はおよそ80%だった。
この調査結果は男女の区別はつけていないものだった。全体的な傾向で女性より男性のほうが携帯の保有率が高いことかすらすると、同じ世代の男性の場合、85%はいっているだろう。
つまり私は残り15%の少数派。しかしこの数字は、私には意外だった。私の年代でも、保有率は90%を超えていると思っていたからだ。
携帯の保有率は、若い年代ほど高くなり、20代だとほぼ100%だそうだ。
私の年代の人でも、今後保有率はどんどん高くなるだろうから、持っていない人間はまだ絶滅はしていなくても、絶滅危惧種であることは間違いない。
私が持っていないものをあれこれあげてみたが、もう一度それらを列挙してそれぞれの少数派の率を記してみる。
1. 腕時計非所有 20%
2. クレジットカード非所有 13%
3. オリンピック関心なし 6%
4. 妻子なし 10%
5. 携帯電話非所有 15%
これらの項目は、相互に相関していないと思われるので、たとえば、オリンピックに関心がなくて、且つ未婚の同じ世代の男性は6%の中のさらに10%しかいないことになる。
つまり、0.06×0.1=0.006で、パーセントに直すと0.6%となる。
それでは、すべての項目の相乗積はというと0.00000234になった。これは言い換えると100万人の同じ世代の男性のうちの2人ほどの確率ということだ。
さらに、これに統計は見つけることができなかったが、ブランド品完全非所有の確率を10パーセントほどと推定すると、1000万人に2人ほどとなる。
私の年齢を含めて、前後2歳ずつの年齢幅の男性の人口は人口統計によると470万人ほどだから、この年代で、私と同じ少数派は、私一人しかいないことになる。
グーグルの「あなたを動物に例えると」ででた診断結果、「周りの誰とも違うあなた」はまさしく正解だったわけだ。
でも診断にあったように、「あなたのクローンを作ろうと科学者ががんばっている」わけはなく、どうやら、絶滅種ではないにしても、絶滅確実種のようだ。