国産初のジェット旅客機?

1月のいつだったか、NHKのニュース番組でホンダのビジネスジェット機のことを取り上げていた。
すでに、何機かを顧客に納入済みで,受注は100機を越えているという内容。
しかしこのニュースは新聞などではあまり大きく取り上げられなかったのではないだろうか。
ホンダジェットが狙いとする市場は海外で,日本では販売が計画されていないからだろうが、去年の11月に三菱が開発したMRJに関しては大々的に報道されたのと比較すると、ずいぶん地味な扱いのように思う。
ホンダジェットはホンダの創業者である本田宗一郎氏の長年の夢だった。
小さい頃に見た飛行機の姿にあこがれ、いつか自分の手でこれを作ってやろうと決心し、ついにそれを実現したのだ。
この辺の詳しいことは、次のサイトの記事が参考になる。
http://biz-journal.jp/2014/07/post_5305.html
オートバイの生産からはじめ,ついにはジェット機の製造、販売まで手がける会社など他に例がない。
機体設計とエンジンの設計のどちらも日本人のエンジニアによる独自設計というのが、これまたすごい。
とりわけエンジン設計に関してはとてつもない苦労があったようで,これを克服し,実用にこぎつけた快挙はどれだけ賞賛しても、し足りないものだと思う。

一方、華々しくマスコミに取り上げられた,国産初のジェット旅客機のMRJ
売りはその低燃費。
ところがだ、その低燃費を実現する最大の要因であるエンジンはアメリカ製だ。
次のサイトの記事はMRJを取り上げ、搭載するエンジンの先進性を書いている。
http://trafficnews.jp/post/45837/
このPW1200G、メーカーは米国のP&W社。エンジン開発に長い歴史とノウハウを持つ,世界最高峰のエンジン専門の会社だ。
しかし、去年11月にMRJのことを取り上げた新聞,テレビの報道では,エンジンがアメリカのこの会社のものだということを、取り上げたものを目にした記憶はない。

以前に、このブログで「ゼロの神話」という記事を連載したことがある。
戦闘機ゼロ戦に搭載するエンジン開発のため,アメリカの旅客機DC-3に搭載されていたエンジンP&W R1830を参考に、同じものを作ろうとしたが結局は果たせず、大戦後期には、ゼロ戦はエンジン性能の差から、米国戦闘機の後塵を拝することになった。
エンジン開発で参考にしたエンジン,その型番からも分かるように,同じP&W社が作ったエンジンだ。
ゼロ戦の製作は三菱。今度のMRJも製作は三菱。三菱はMRJでは自社でエンジン開発はせず,大戦中にエンジン性能で追いつくことができなかったP&W社のエンジンを、今度はそのまま載せようというのか。
航空機の性能を決める肝心要のエンジンを海外性のものに頼って,それで国産初のジェット旅客機だと胸を張れるのか。
マスコミは、MRJが、エンジンも日本人の設計による,日本で製造したエンジンを搭載して始めて、「国産ジェット旅客機」だと報道すべきだろう。
ホンダのビジネスジェットと三菱のMRJ。どちらのほうが日本人として誇りに思うべきか,答えは明白だ。