新・からだのこと7(酒は百薬の長?)

著名なトップアスリートが白血病を発症したニュースはかなり衝撃的であった。

もう何年前になるか、女優(当時はこの言い方が普通)夏目雅子白血病で早世したときのことを思い出し、またも若い身空でと思ったが、最近は医療の進歩で十分回復可能な病気になっているらしい。

医療の長足の進歩は喜ばしいことなのだが、依然、この病気の原因ははっきりしないようだ。

原因がはっきりしない以上、これを事前に予防することもできない。

このニュースの衝撃が覚めやらないうちに、今度はよく知った女性タレントが口腔がんであることを公表。こちらもかなりの衝撃。

口腔がんのほうは原因のかなりの部分が日常的な喫煙や飲酒にあるとされている。実際、この女性タレントにも飲酒の習慣があったようだ。

飲酒癖ががんの原因になることはもはや疫学的に証明された事実なのだが、これはいわゆる「不都合な真実」として、テレビ番組などで、おおっぴらに公言する医者や公衆衛生の専門家はいない。

しかし、ネット上にはこの件に関するサイトがある。

https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/269.html

とりわけ、酒などのアルコール飲料を飲んで顔が赤くなるタイプには、この飲み物は二重の意味で危険をはらんでいる。

というのも、顔が赤くなるタイプの人はアルコールが体内の酵素(アルコール脱水素酵素)によって、アセトアルデヒドに分解された後、この物質を分解する体内の酵素がないため、長時間にわたって体内のあらゆる場所の細胞がこの毒物に暴露されてしまう。

そして、この毒物が発がん性を持っていることも疫学的に証明されている。

アルコール自体が細胞傷つけることによる発ガンの危険性だけでなく、アセトアルデヒドという発がん物質に細胞が長時間さらされる。

これが二重の意味での発ガンの危険性だ。

現在のところ、アセトアルデヒドと発ガンの関連性がわかっているのは、咽頭がん食道がんなど、消化器系のがんに限られているようだが、毒物のアセトアルデヒドはその他の系の発ガンにもかかわっている可能性は高いと思う。

ところで、日本人の場合、人口の44%がこのタイプだという。

これに関するサイトは次のとおり。

https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/health/mechanism.html

上記サイトはアサヒビールの広報サイトだが、アセトアルデヒドに発がん性があることは一切触れていない。

そりゃそうだろう、そんな事実を公表すれば自社ビールの売り上げに響きかねない。

アルコール飲料を販売する会社はもちろんのこと、医者も公衆衛生の専門家も、すでに日本の食文化に深く浸透しているアルコール飲料のことを悪く言わない。

健康に関するテレビ情報番組を見ていても、アルコール飲料の発がん性に言及した、いわゆる専門家は見たことがない。

飲酒癖は自らの選択でやめることができる。

ということは飲酒癖が関係したがんは白血病とは違い、そのリスクを自分で軽減できるということだ。

ワイン通で知られた女優が最近がんでなくなった。また、著名な俳優の長男が咽頭がんで亡くなったのも、比較的最近のこと。

女優には、当然ながら飲酒癖があっただろう。また後者の場合にも、飲酒癖があったとしたら、それが発ガンの原因だったとしても少しもおかしくない。