帰ってきたチャック

去年12月に里子に出した子犬は全部で6頭。それぞれの家庭でうまくやっているとばかり思っていたが、里親家族の一つから、2月24日の金曜日に電話で連絡があり、問題が発生したという。事務所内で飼われていた里子のチャックがお客を噛んだらしい。
事務所という場所柄、たくさんの人の出入りがある。そうした人たちに、チャックは唸り声を出し、客がさらに近づいたりすると、噛み付いてくるので危険だそうだ。
お客相手の仕事で、客に噛み付くようではどうしようもない。引取りを申し出たところ、日曜日の夕方に電話があり、やはりチャックを家で引き取ることになった。
27日月曜日の午後、引取りに出向いた。チャックは私のことを忘れているようで、近づこうとすると、低く唸った。相当に神経過敏になっているようで、うっかり近づいたりすると、噛み付きそうな雰囲気だった。

  • 以前の記憶が戻りそうなチャック

里親家族に手伝ってもらって、チャックが入っていたケージごと車に積み込んだ。
里親記事に応募してきたご夫婦、その息子さん、娘さん、おばあちゃんも、里親家族全員での見送りとなった。涙を見せる家族もいて、悲しい別れの場面となった。
みんなに可愛がられていたのに、飼育環境がチャックには向いていなかったのだ。
保護した犬に共通する性格、性質がある。それは、初対面の人間を警戒すること。知らない場所に連れて行かれることをとても嫌うことなどだ。
チャックはその性質がとりわけ強いようで、知らない人間が毎日のように沢山出入りする環境は、チャックにとって、大変ストレスの多いものだったろう。
帰り道の車中、チャックは甲高い声で鳴き続けた。鼓膜に響くような鋭い声だった。

  • ブンタとの再会

連れ帰ったチャックは、最初は用心深く、ケージから出ようとしなかったが、車庫から庭に連れ出したところ、以前暮らしていた時の記憶が蘇ったのかあちこち歩き回りはじめ、この時に私のことも思い出したようだ。
外飼いの3匹はチャックのことを覚えていたようで、吠えたり、追いかけたりもせず、すんなりと受け入れてくれた。なかでもブンタとは一緒に遊んだ経験もあり、チャックも覚えていたようだ。ブンタはチャックと母犬も同じで兄弟にあたる。
落ち着くまで、しばらくは家で世話をすることにしよう。違う環境であれば、チャックもうまくやっていけるかもしれない。