ダルマインコの里親探し epilogue

6羽のインコのうち、最後に里親が決まったオカちゃん。このインコには、後日談がある。

里親のHさんから、先日、メールが届いた。その内容には驚くようなことが書かれていた。

オカちゃんが、Hさんのところに引き取られてしばらくして、お母さんが癌で亡くなったというのだ。

うちにHさんがお見合いに来たときには、すでに母親の病状は進行していたと思うが、そんなことには一切触れることなく、普通の態度だった。

そもそも、オカメインコを希望したのは、亡くなったお母さんだという。タイミング的には、お母さんの希望がぎりぎりでかなったことになる。

これだけでも十分、驚くに値するが、さらに驚いたのは、亡くなる当日に、前日まで寝ていたお母さんがオカちゃんの元の飼い主の現在の消息について質問したという事実だ。

届いたメールの一部をそのまま引用する。

母が亡くなったのは先週火曜日の夜だったのですが、その日は朝から目を開けて起きており
(前日まではほとんど寝て過ごしていました)、せん妄が出ていたのか、時々、ちぐはぐなことを話しておりました。
その中で、『オカちゃんのママはどうしてる?』といった内容のことを言っていたんです。
誰かと間違えているのかと思い、その人のことか?と聞くのですが、『違う、オカちゃんのママ』だと。
父と私は仕方なく、『会ったことないから、分からんなぁ』という返事をしました。

メールの中の「先週の火曜日」というのは、10月26日のこと。Hさんはメールで、元の飼い主がオカちゃんのことを心配して、その気持ちが母親の心に届いたのではと書いていた。

そうかもしれないが、元の飼い主には、オカちゃんが引き取られた次の日の10月8日にそのことを報告し、彼女は「よかった、よかった」と何度も繰り返した。

インコたちの行く末を心配していたが、里親が見つかったことで、安心したのだと思う。

実は、この後の10月19日頃、体調不良のため、入院したようだ。高齢で、さらにある病気を疑わせるからだの特長が出ていたから、この入院は私には意外なことではなかった。

毎日のように、私のところに電話をかけてきて、近くのスーパーで買ってきてほしいものを連絡してきていたが、入院した日を境にぴたりと電話がかかってこなくなっていたので、次の週に火曜日あたりから、かなり心配になり、元の飼い主の近所の人のところに消息を聞きに行ったのが先週の土曜日のこと。

上記の「次の週の火曜日」というのが、他でもない10月26日。同じの人のことを同じ日に、お互いに面識のない人間が心配をしていた。

もちろん、単なる偶然と考えることもできるが、今回のインコたちの里親探しは、そもそもかなりの偶然から始まっている。

そのあたりのことは「ダルマインコの里親探し 2」で書いたとおり、私がスーパーで元の飼い主とばったり出会ったところから始まっている。

そこでたまたま出会うことがなかったら、里親探しはそもそも始まっていなかった。

オカちゃんは一度、里親トライアルに出した。しかし、オカちゃんは出戻ってきた。

里親探しサイトでオカちゃんとのお見合いに来られた里親希望者は、里親としての十分な条件を備えていたから、その人に里親になってもらうこともできた。

しかし、私には、オカちゃんの里親としてもっとふさわしい人がいるはずだと思い、里親募集を継続した。

自分で言うのもなんだが、私の勘はよく当たる。このときも、この勘が働いたのだ。

ここまでの経緯を考えると、オカちゃんがHさんのところにもらわれていったことは、なにやら、運命の糸に引寄せられてのことと思えてくる。

これまで様々な人と保護動物との出会いの機会を作ってきたが、オカちゃんの場合ほど、その出会いが運命的だと思えるものはなかった。

メールに添えられたオカちゃんの画像を貼り付けておく。お気に入りのセキセイインコとのツーショット。オカちゃん、よかったね。

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オカちゃんと青いセキセイインコ