ワンコ屋敷4

その後も、ヨシを散歩に連れて行くときには、ドッグフードを少し、スーパーのレジ袋などに入れて、持って行くようになった。
子犬たちの姿が見えれば、中州の茂みにドッグフードを置いておくためだ。
子犬たちがなつけば、捕まえて保護することもできると考えたからだ。
最初に子犬たちを見かけてから、一ヶ月ぐらいもたつと、足音だけで、子犬たちは、草むらから姿を見せるようになった。
しかし、そこはやはり野犬。飼い犬のように、尻尾を振って間近までやってくるということはなかった。最低限2メートルは距離を置き、いつでも逃げられる体勢を崩すことはない。

  • 中州の子犬たち


捕まえようと、こちらから近づくと、必ず逃げ出し、中州の草むらに身を潜める。子犬といえども、背の高い枯れ草が、辺りを覆いつくす川の中州では、子犬の姿などあっという間に見えなくなり、探しようがない。
時間が過ぎるとともに、子犬たちは成長し、こちらの焦りが高まっていった。
このままでは、野犬狩りがやってきて、捕まってしまうかもしれない。保護するなら、できるだけ早くしなければと思ったのだが、子犬たちは成長とともに、運動能力もどんどん高くなり、2月にはいるころには、もう走って追いつくこともできなくなっていた。
そして、私の不安は的中した。