日本人の英語6

関係詞の用法には、制限用法と、非制限用法の2種類があると学校文法では教わる。
そして、それぞれに定型訳がある。
7. I have a brother who lives in Tokyo. (制限用法)
私には東京に住んでいる兄弟が一人いる。
8. I have a brother, who lives in Tokyo. (非制限用法)
私には兄弟が一人いるのだが、彼は東京に住んでいる。

制限用法の場合は、関係詞節の内容が先行詞の内容に制限を加えるので、関係詞節を先に訳して、先行詞を修飾しなければならないと教わる。
よくわかったようなわからないような説明だが、とりあえず、「関係詞があれば、そこから後を先に訳す」ということがその後の英語学習で繰り返され、身についてしまう。
ところで、例文7の実際の意味は、兄弟は一人ではなく、他にもいるが、東京に住んでいるのは一人だけだということなのだが、定型訳の日本語からだけでは、そのことはまったくわからない。非制限用法の訳と対比して、初めて意味の違いがわかる。
つまり、制限用法の場合の定型訳は、もとの英語の情報をきちんと伝えてはいない。
情報の欠落するような訳にこだわる必要はないから、制限用法の場合でも、非制限用法と同じような訳し方にすれば、語順どおりの訳も可能だ。
例文7の場合であれば、「私には兄弟がいて、そのうちの一人が東京に住んでいる」という訳にすれば、語順どおりでスムーズであるし、むしろ定型訳より、元の英語の内容に近いものとなっている。
関係詞の制限用法は、細かく分けるとさらにいくつかの用法があり、語順どおりに訳し、元の英語の意味をうまく伝えるには、用法による意味の違いを知っている必要があるのだが、その説明は、「日本人の英文法」という研究社から出ている本に詳しく書いてあるので、そちらを参考にすればよい。
関係詞を含む文を、語順に沿った訳で理解できれば、構文の分解に時間をかける必要がなくなる。