諸行無常

いつも散歩に行く川の下流にある中州には、今もそこで暮らす野犬たちが何匹かいる。
10月の中ごろから、子犬が3匹、以前に野犬狩りのあった場所から程近いところに出没するようになっていた。
サブやジロと同じように、野犬の母犬が産んだようだ。
そのまま放置すれば、いずれは野犬狩りにあってしまうことは間違いないので、保護してやりたかったが、5匹の犬をすでに飼っている現状では、それ以上飼う余裕がないので、ただ見過ごすしかなかった。
それにその子犬たちは、小さいながらもなかなか敏捷で、専用の捕獲道具がないと捕まえるのは無理のようだった。
河川敷に散歩に出かけると、いつも堤防の上からこちらを見ている三匹が見られた。
ところが先週の土曜日に同じように散歩にでたとき、一匹しか姿が見えなかった。
不審に思い、堤防の上に出てみて、一匹の子犬の死体を発見した。
口から出血しており、動かなくなっていた。
死んだ理由はよくわからない。しかし、犬などの噛み傷によるものではなく、どうやら人間が撲殺したと思われた。

  • 無残なむくろと化した子犬


子犬といえどもすばしこい犬を殺すとなると、捕獲のための道具が要るから、心配していた野犬狩りが、またその場所で行われたのだろう。
以前目の当たりにした野犬狩りの無残な光景が、また蘇った。
子犬の死体は、火曜日の午後、河川敷道路にあり、たくさんのカラスが群がって、内臓はすっかり食われてしまっていた。
そして、今日水曜日。まさしく骨と皮のみを残して、子犬の死体は、川の中州の草むらの中にあった。
ほんの一種間前は、元気に跳ね回っていた子犬の成れの果ては、外飼いマロ、ジロ、サブがたどったかもしれない運命で、それを思うと、この子犬を救ってやれなかったことが残念でならない。