新たな子犬たち11

川原で生まれた兄弟犬の話は、五匹を里子に出して、それで終わりではなかった。
兄弟は全部で七匹いた。五匹目のリキを捕まえるときに逃げてしまった二匹を何とか捕まえられないかと、その後も毎日同じ場所にいってみたが、中州の草むらの中に、時おりその姿を見ることはあっても、捕まえることなど到底出来ないでいた。
最後の手段として、小動物捕獲用のトラップを仕掛けてみることにした。
子犬はどんどん大きくなる。小動物用のトラップでは、生後3ヶ月までなら捕まるかもしれないが、それ以上大きくなると、トラップに体が入りきらなくなり、捕獲はもう無理だ。

  • 2011年3月14日撮影


そして、3月7日、月曜日の朝。前日の日曜日の夜に仕掛けておいたトラップを見に行くと、子犬が掛かっていた。
3月7日は、ゴウを里親宅に届けることになっていた日だ。掛かっていた子犬を家に連れ帰り、ゴウたちと引き合わせた。ゴウはその日の午後にはいなくなるので、最後の別れをさせたわけだ。
この子犬には、ブンタという名前をつけた。ブンタは、兄弟たちとは当然のことながら、すぐに戯れるようになったが、私の姿を見ると逃げ回るだけだった。
庭を逃げ回って、最後は、エアコンの室外機の陰に隠れるということが続き、連れ帰って1週間たってもまったく懐くことがなかった。