ヨシ

今年で14才になるヨシ。去年ぐらいから急激に体力が落ちて、今年の夏はやたら水をガブ飲みするようになり、体調も悪そうだった。
何とか、夏を乗り切ったが、体力の衰えは明らかで、そろそろ寿命なのかもしれない。
ヨシが最初に家にやってきたのは、生後5カ月ぐらいだっただろうか。
母親の知り合いのうちで飼われていた柴犬が予想外の妊娠をして、生まれた子犬の扱いに困っていたので、家で一頭引き取ることにした。
その1頭がヨシで、当時はネットで里親募集などなかったから、生まれた子犬を里子として引き取ったのは家だけだったかもしれない。
うちに来た時には、もう子犬のかわいらしさはまったくなく、体格も、成犬の柴犬の大きさをすでに超えていた。
父親は柴犬ではないことは明らかだった。引き取った当時、うちには先住犬が3頭いて、新参者のヨシはこの3頭全てからいじめられて、いつも小さくなっていた。
引き取られる前の生活も、決して幸せな状況ではなかったようで、ヨシの額にはいつもしかめ面をしたときにできる眉間のシワが浮かんでいた。
この眉間のしわが取れたのは、いじめていた3頭の先住犬が、全ていなくなって、ヨシだけになったとき以降だったと思う。
あまり幸せではない、子犬時代、若年時代を過ごしたにもかかわらず、ヨシは攻撃性もなく、家人の履物や洗濯物を噛んだり、汚したりすることもなく、とても扱いやすい犬だった。
これといった病気にかかることもなく、最低でも16,7年は生きるかと思ったが、父親が、大型の洋犬だと、15年以上の長寿を期待するのは無理だろう。