少年時代 その1

一年に一度ぐらい、家にお泊りにやって来る甥っ子。今年、小学校三年生。
昨日7月31日に、久しぶりにやってきた。長野県で行われたキャンプ合宿に参加して、その続きの家でのお泊り。
昨日のお昼過ぎにやってきて、いろんな話をしているうち、私の小学校時代のことに話が及んだ。
私が小学生頃の夏休みといえば、それはもう朝起きて寝るまで、まったくの自由時間。小学校の低学年の頃は、夏休みは毎日昆虫採集。その頃に採集し、標本にしていたものの一部が今も残っている。
そのことを甥っ子に話すと、その標本を見てみたいという。彼は昆虫採集にはあまり興味はないようだが、自分と年のそれほど変わらない小学生だった私が作った標本には、感嘆の声をあげた。
中でも、キイロスズメバチの標本には感嘆しきり。スズメバチなんかどうやって捕まえたのか。どうやれば、こんなにうまく標本にできるのかと質問攻めだったが、なにせ数十年前のことなのでこちらの記憶が定かではない。
スズメバチの隣にあったクマバチには、苦い思い出があったので、採集した時のいきさつは今も鮮明に記憶にある。
捕虫網を片手にいつもどおり、朝から昆虫採集に出かけた小学生の私。近くの廃寺跡は、雑草が生い茂り、何本かの背の高い木もあり、セミがたくさんいる場所なので、私にとっては絶好の採集ポイントだった。
採集ポイントにやってきて、しばらく経った頃、背の高い雑草の花が咲いていて、そこにいつもとは違う黒い物体が飛来した。
昆虫少年にとって、今まで捕獲したことのない昆虫との遭遇ほど胸の高鳴ることはない。
その時も、それがクマバチで、まだ採集したことがなかったため、興奮の度合いは一気に頂点に達した。
クマバチは花の蜜が好きだ。雑草の花に喰らいつき、蜜を吸うことに熱中していて、捕虫網を片手に近づいてくる子供には注意を払っていないようだった。