オリエント急行殺人事件#1

アガサ・クリスティー原作の表題の小説が最近、三谷幸喜の脚本でテレビ放映された。新聞のテレビ欄で放映されることを事前に知ったが、実際には番組は見なかった。
英米物の日本版はもともと好きではないことと、ストーリーそのものを小説でも読んだし、映画も何度も見ている。いまさら日本版を見る気がしなかったからだ。
番組を見た人の感想は、豪華キャスト総出演でなかなか面白かったとのこと。
名探偵エルキュール・ポワロが登場する原作のきっかけになったとされる、実際の事件について、知っているだろうか。
その事件とはリンドバーグ愛児誘拐事件で、当時のマスコミを大いに騒がせたようだ。
この事件はなぞが多く、様々な揣摩憶測を呼んだ。クリスティーはこの小説でその謎解きに挑んだのだろう。
その番組がどのチャンネルでいつ放送されたかは、もう覚えてはいない。かなり以前のヒストリーチャンネルか、ディスカバリーのどちらかだったように思う。
番組では、なぞの多かったリンドバーグ事件を独自の視点で鮮やかに解明して見せた。真相はきっとこれに違いないというほどの説得力があった。
その番組による真相とは、犯人は外部から侵入した何者かではなく、誘拐された幼児の父親、リンドバーグその人であるというものだった。
事件は、そもそも犯罪ではなく、単なる事故だったというこの番組の主張は、何でもかんでも事件性を求める大衆には受けなかったようだが、私には大変な説得力があった。
私はミステリーが好きで、毎日ケーブルテレビで数本の刑事物、探偵物を見る。
実際に起きた事件にも関心が高く、日本で起きた事件で、関心を持ったものは、現場をグーグルアースで見てみることもしばしばだ。
現場の状況、新聞報道などから事件の実際の様子を想像してみる。すると、メディアなどで想像しているようなものとは全く違ったイメージが湧いてくることがたびたびある。
きわめて凶悪な事件と世間では信じられているものが、実際には全くそうではないのではと思う場合があり、リンドバーグ事件の真相を事故だったとする説には大いに納得できたのだ。