検索力#4

多肉植物やサボテンの自生地情報について、私が参考にするのはサボテン・多肉の日本名から学名を調べる際に使うサイトをのぞくと、すべて英語のサイトだ。
今回、クラッスラの品種の特定に使ったサイトは南アフリカのサイトで、使用言語はやはり英語。
ネットの世界で英語はたぶん最も多く使われる言語だろう。日本語のサイトの情報量など問題にならないぐらいの情報量があると思う。
しかし、日本の多肉やサボテンに関するブログを見ていても、私が参考にしている英語のサイトに関して言及したものに出会ったことがない。
いろいろ有益な情報にあふれていると思うのに、そうしたサイトの情報を全く利用しないのはなぜか。
利用しないのではなくて、利用できないからなのだろうと思う。つまり英語のサイトを開けてみても、中身を読んで理解できないから、利用のしようがない。まあそういうことなのだろう。
ネット上の様々なサイトの英語は、英字新聞の記事を読みこなせるぐらいの力があれば、たいていのものは理解できる。
ところがこの英字新聞の記事を理解できる英語力というのが、実はなかなか到達できないレベルだから、有益な情報にあふれる英語のサイトにいつでも接続可能なのに、ほとんどの日本人にとっては存在しないのと同じになっている。
日本のネット社会が閉じたものだと表現したのはこのためだ。
私は、これまで英会話のサークルや、英語の学習グループなどいくつものグループに参加してきた。こうしたグループに集まる人たちは当然ながら英語に関心もあるし、それぞれに英語の学習にも長い時間を費やした人が多い。
ところが、そうしたグループにあっても、たとえば、英会話サークルで、フリートークと称する時間に、「最近読んだ英語小説」だの、「役に立った英語記事」などということがテーマに上がったことは、私の30年近いサークル活動でも一度もない。
私としてはぜひやりたかったのだが、ほとんど誰も日常的に英語など読んだりしないのだ。読んでもいないから、テーマとして出しようがない。
さらにいえば、英語のドラマやニュース放送などもほとんど見ていない。
TOEICや英検の試験問題を解いて、スコアをあげることには熱心な人はいても、日常生活の中に英語は浸透していないのが現実だった。
英語好きだと思われる人でもそんなものなので、そうではない日本人が英語で記述されたもの、それが例え自分の関心のある分野のことでも、情報源とすることはまずないと思う。
表題の検索力という観点からすると、ほとんどの日本人の検索力は著しく、制限がかかったものにならざるを得ない。
閉じたネット社会のなので、その中で間違った情報が広まっていっても、これに歯止めがかからない。どんどん広がって、むしろそれが正しい情報になってしまう。
多肉植物は趣味の世界のことなので、間違った情報でもたいした害毒にはなるまいが、多肉植物の世界で起きていることは、たぶん他の分野でも起きていることだとすると、これはかなり深刻な問題ではないだろうか。