タロ・ジロ・サブ2

堤防の土手を上がりきって、最初に見かけた子犬に近づき、抱き上げた。
特に人間を怖がるでもなし、丸々よく太った子犬だった。
発見場所近くに暮らしているホームレスの人に餌をもらっていたのかもしれない。
その子犬を土手の下に止めてあった自転車の前かごに入れて、もう一匹の子犬に近づいた。こちらもまったく逃げる様子もなく、やすやすと捕まえることが出来た。
二匹を前かごに入れてから、もう一度土手の上に登ってあたりを見回した。子犬はつかまえた二匹だけではないかもしれないからだ。
あたりには、親犬らしい姿も、兄弟の子犬の姿もなかった。
それにしてもこんな偶然があるだろうか。誰かが、ヨシを連れて散歩にやってくるわたしを待ち受けて、子犬を目に付きやすい土手の上に置いたのではないかと思ったほどだ。

  • ジロ(2009年12月17日撮影)


しかし、それはありえない。わたしが散歩に出る時間は一定ではないし、毎日するわけでもない。確かに水曜日は晴れていれば、大体同じ時間に散歩に出るが、そんなことを知っている人間がいるとも思えない。
ひろった二匹をどうするか。家にはすでに三匹の犬を飼っている。いくらなんでも、五匹は多すぎる。
ネットを通じて、里親を探すサイトには以前にも連絡して、里親を見つけてもらったことがある。今回もそうするしかないか。
そんなことを思いつつ自転車を走らせた。