新たな子犬たち15

川原でまだ自分で歩くこともままならない子犬を見つけたときは、連れて帰るかどうかちょっと迷った。
まだ授乳期にある子犬の世話は大変だからである。口の中を調べたところ、すでに犬歯が生えていて、そのほかの乳歯も頭が見えていた。このことから、この子犬が生後20日ほどであると分かった。
授乳期はほとんど終わりかけの時期なので、連れ帰っても問題なく育てられるだろうと判断した。もう少し大きくなってからなどと思って、連れ帰らなければ二度と見つけられないかもしれない。
6匹の兄弟犬の保護のいきさつを思うと、見えざる手に導かれるように、子犬たちを見つけ、保護できた。その多くが、それ以外の形では見つけることも、保護も出来なかったであろうといえるほどの絶好のチャンスであった。
この子犬の場合も出合ったそのときが、見えざる手が与えてくれた保護の決定的チャンスなのだと思った。

  • 拾って三週間過ぎた頃のチャウ(2011年4月3日撮影)

草むらの上の子犬を抱き上げると、キャンキャンと声をあげた。すると近くにいた母犬が、少し私に対して吼えたが、母犬は顔見知りだった私には、警戒心が以前から薄く、吼えるのもすぐにやめた。子犬を預けても大丈夫と思っているかのようだった。
連れ帰って、簡易ケージの中に入れた。まだ自分の足で立つことも出来ない子犬は、少々重めのぬいぐるみのようだった。
それからの2週間は、哺乳瓶を使っての授乳、離乳の給餌を交互に一日5回行った。これは結構手間の掛かることで、問題なく育てられるとはいいながら、この子犬の世話が一日の中心になってしまった。
顔付きがチャウチャウに似ているので、この子犬をチャウと呼ぶことにした。