新たな子犬たち14

新たな子犬の話には兄弟犬六匹のほかに、別のもう一匹の子犬が加わる。
五匹の兄弟犬をそれぞれの里親宅に送り届け、残るブンタにも、里親候補が現れて、一安心していた3月11日。この日は例の地震のあった日だが、震源から遠くはなれて直接の被害は何もなかった関西では、いつもどおりの日常であった。
この日の夜、5匹の兄弟犬を捕まえた場所よりさらに下流の川原に行ってみた。
その場所に、昼に散歩に出かけたとき、ブチ模様のメスの野犬が姿を現した。
じっと動かず、昼寝をしているようだったが、普通なら人が近づくと、逃げていくものだが、ひとところにじっとしていた。

  • 3月11日の夜に見つけた子犬(2011年3月13日撮影)


この犬は、家で飼っているサブの兄弟犬だ。
サブを捕まえた後、何度か捕獲を試みたが、結局うまくいかず、そのまま川原で成犬となり、現在はリーダー犬のオスと一緒に、他のメス二匹と行動をともにしている。
それより一ヶ月ほど前の2月中ごろまで、時おり日中にこの犬の姿を見かけることがあったが、そのときは明らかにお腹が大きく、近々子犬が産まれるのではないかと思っていた。
そして、昼間に見たときのこの犬のお腹は小さかった。
その場所の近くで出産したのではないか。そして、子犬がいるから、人が近づいても逃げなかったのではと思った。
真っ暗な川原を懐中電灯の明かりを頼りに歩いていると、明かりの中に浮かび上がる何やら毛の塊のようなものがあった。
それは、まだ目が開いたばかりと思える生後20日前後の子犬だった。