日中の水遣り1

真夏の昼過ぎ。温度は35℃ほど。鉢植えの植物の中には水切れでしおれ始めているものもある。
さて、こういう場合どうするか。日中の暑いうちの水遣りは避け、日が傾く夕方以降に水を遣るというのが園芸の世界での常識だ。
真昼の暑いうちは、鉢もその中の土も暑くなっているから、そこに水を与えると、鉢土の熱で温水になってしまい、根が煮えてしまうからというのだが、この常識、はなはだ怪しい。

  • 昼下がりのパラの鉢植えへの水遣り(2011年8月16日撮影)


与える水の温度が鉢土の温度より、低ければ、鉢土の温度は確実に下がるわけだし、水切れで根が乾燥しきってしまってはそれこそ根が死んでしまう。
その前に水を与えなければ、手遅れになってしまう。
このところ、日中最高気温は毎日35℃前後まで上がる。その一番暑い時間帯を狙って、毎日のように鉢植えの植物や庭木に水を与えている。
水遣りにより鉢植えの植物が根ぐされを起こすどころか、ちょっとしおれ気味の植物も、夕方には葉がしゃっきりとして元気を取り戻す。この真昼の水遣り、始めたのはずいぶん前のことだ。
夏の昼間の水遣りはだめという常識に、最初に疑問を持ったのは、ずいぶん前に真夏のオーストラリアにいたときのこと。
水が貴重品であるかの国で、初夏の頃から昼の一番暑い時間帯になると、キャンパスの芝生に水を遣るのが日課となる。水は人が手作業で行うのではなく、芝生に埋め込まれたスプリンクラーの元栓を用務員のおじさんがひねるだけ。
勢いよく飛び出す水が霧となり、日中の光を浴びて、その中に小さな虹を作る。
その様子を眺めていて、ふと疑問に思った。夏の日中の暑い時間に、植物に水を遣るとかえってよくないのではなかったか。貴重な水を使ってかえって植物をだめにするのでは何をしているのか分からないではないかと。