小夏が帰ってきた1

27日の金曜日の夜、行きつけの医院から帰宅すると、小夏の里親さんのKさんから電話があったと母親が私に伝えた。
夜かかってくる電話はあまり芳しい話ではないことが多いので、ちょっと心配になった。
こちらから電話をしたところ、小夏のことで問題が発生したという。
なんでも、小夏の鳴き声がうるさいと近所から苦情が警察を介して伝えられたらしい。
苦情を言ってきた人は、かなり強硬な態度で、改善が見られない場合、訴訟も辞さない構えだと、やって来た警察官から伝えられ、Kさんがうちに電話をしてきたのだ。
メールで小夏の近況を何度も送ってくれたKさんにしても、寝耳に水のことのようで、対応に苦慮しているという。
家の外で飼われている小夏が鳴くと近隣のうちからもよく聞こえるだろう。音に敏感な人だと、一度耳についた音はずっとその音が気になり、ほかの人にはそれほどでなくても、神経に触る音になる。
警察を介しての苦情だから、苦情を行ってきた人がどんな人物かもわからないのでKさんとしても不安になったようだ。
犬の吠えるのをやめさせるというのは、かなりの難題だ。そもそも何らかの理由があるから吠えるのだが、その理由の特定が困難だし、原因がわかったとして、即効性のある解決法があるかどうかもわからない。
トラブルが拗れて、小夏に何らかの危害が加えられても困るので、小夏の引取りを申し出た。
Kさんは、そのことを視野に入れて、小夏をどうするか家族で相談して改めて連絡すると言って電話を切った。
そして、昨日の土曜日の午後2時頃。Kさんから電話があり、やはり小夏をうちに返すことにしたと連絡があった。
そう決めた以上、行動は早いほうがいい。という訳で、小夏はその日の夕方6時頃、家に帰ってきた。
近々、里子訪問で小夏の様子を見に行こうとしていた矢先、向こうから先に家に帰ってきてしまった。