新たな子犬たち2013-3-4

母犬は近くにいないのか、子犬の泣き声にも姿を現さない。母犬がいない間に、子犬の姿だけでも確認しておこうという気になって、さっき、子犬の声がしたイラクサだらけの場所に戻ってみた。
また、子犬が近寄ってくる足音に反応して、鳴き始めた。しかし、草むらのどこからその声がするのか、なかなかわからない。声はするが姿が見えない。
無造作に歩を進めて子犬を踏みつけたりしたら大変なので、慎重に一歩一歩草むらを進んで行った。
すると、ある一箇所から、声がするのがわかり、その場所のイラクサの蔓を軍手をはめた手でどかしてみた。
イラクサの蔓は大変丈夫だ。びっしりと張り巡らされた、イラクサをどけるのは、結構力が要る。軍手なしではとても出来ない。
すると、イラクサの蔓の影から、黒い色の子犬が一頭だけいるのがわかった。
手を伸ばして抱き上げると、鋭い鳴き声をあげた。そして、なんだかくさい臭いがする。ちょうど、怪我が化膿して膿が出ているときの臭いだ。
ひょっとしてどこか、負傷してそこが膿んでいるのだろうかと思って、顔を近づけて驚いた。
へその周り、後ろ足の付け根部分、後足の関節部分などに、びっしりと蛆虫が喰らいついているではないか。
なんともおぞましい光景で、体長5mmほどのウジが何百という数で、子犬の柔らかい皮膚組織を生きたまま、食べているのだ。
これは大変、すぐ連れ帰って、何とかせねばということで、抱き上げた子犬を自転車の前カゴに乗せた。
しかし、ひょっとしてまだ他にも子犬がいるかもということで、もう一度、子犬のいた場所の付近を丹念に捜索したが、他に子犬のいる気配はなかった。
自転車に乗ろうとすると、堤防の上に、さっき姿を現した犬とは別の犬が顔を出した。それは、野犬グループのリーダー、ボスだった。
子犬の鳴き声を聞きつけたのか、父親の方が姿を現したのだ。ボスは子犬がさらわれる状況でも、特に吠えたりはしない。
ゆったりと構えていて、こちらの様子を見ている。画像は、後日、同じ場所で撮ったボスの姿だ。
子犬が心配で姿を現したというより、ひょっとして餌がもらえるかもしれないと思ったのかもしれない。