リアクティブ・アサーティブネスとは1

表題のカタカナ語を聞いたことがあるだろうか。英語のreactive assertivenessを発音どおり、そのままカタカナ表記したものだ。
英語雑誌や英字新聞を日常的に読んでいる日本人は人口の1%もいまい。
かく言う私、ケーブルテレビのアメリカの刑事ドラマ、ミステリーものは一日最低でも3本は見ているが、英字新聞、雑誌はほとんど読むことはない。
そういう日本人にとって、表題の言葉はチンプンカンプン、意味不明の言葉だろう。私も表題の言葉は最近知ったものだ。
しかしこの言葉が表す意味は日本人には、いや日本という国家にとっては、かなり重大な意味を持つ。
この言葉は、中国が隣接する国々との領土問題で、対立国に対してとる基本的姿勢を表している。
英語のreactive assertivenessを検索語にして検索をかけると、ある女性が使い始めた言葉だと分かる。
次のサイトで、この言葉の意味が分かるが、英語のサイトなので、即座に理解できる人は限られているだろう。
http://globalpublicsquare.blogs.cnn.com/2012/07/25/china-takes-the-gloves-off/
このreactive assertivenessを念頭に置いたかどうかは分からないが、昨日の読売新聞朝刊のコラム「編集手帳」には中国の領土問題に関する、隣国への態度を、あるたとえを用いて書いている。以下はその引用。

知人と友人はどう違うのだろう。『悪魔の辞典』で名高いアンブローズ・ビアスに警句があるという。<知人とは、金を借りるほどには親しいが、金を貸すほどには親しくない人のことだ>だと◆晴山陽一さんの『すごい言葉』(文春新書)から引いた。借りもすれば貸しもする双方向の間柄が築かれて、初めて友人と呼べるらしい。話を安全保障に置き換えれば、助けを借りることはあっても貸すことはない日本に、友人はいないことになる◆東シナ海の公海上空を飛行する自衛隊機に中国軍の戦闘機が約30㍍まで異常接近したという◆往来で肩をいからせ、触れたら因縁をつける算段か。堅気の衆とは呼びがたい国と隣り合って日本人は生きている。友人を増やし、不心得ものに手出しをためらわせる。集団的自衛権とはつまるところ、戦火をあらかじめ避ける仕組みをいうのだろう(後略)

reactive assertivenessとは、上記コラムの「往来で肩をいからせ、触れたら因縁をつける」まさにこの態度といってよい。
この態度、個人のレベルでは以前からあるものだが、国家が隣国に対してとる態度なのだから問題の深刻さは比較にならない。
コラムはこうした態度の国を「堅気の衆とは呼びがたい国」と表現した。まさにいい得て妙であろう。