日本人の英作文2014-1-11

「スノードーム」の英作文の続き。

課題文: 近づいてみると、ガラスの中で雪がふっている。風もあるらしく、ときどきモミの木がゆれた。小屋のドアがあいて、サンタクロースがでてきた。
「サンタさん!」ぼくは叫んだ。
「こわい夢でもみたの?」
おばあちゃんがとんできて、ぼくの頭をなででそう言った。
作文例1: I came close to the desk to find out that it was snowing in the snow globe. The fir tree inside swayed now and then and I thought it was a little windy too. The door of the tiny house opened and Santa came out.
"Mr. Santa Claus!" shouted I.
"Did you have a scary dream or something?"
My grandmother rushed to me and said touching my head gently.
作文例2: I got closer to the desk to check up on it, and I found that it was snowing in the glass snow-dome, momi firs were swaying in the wind sometimes, the door of the cottage opened and Santa Claus appeared.
"Santa-san!" I shouted.
"Did you have a terrible dream?" asked my grandma, giving me a pat on the head, who came dashing into my room.

しょっぱなの「近づいてみると」の部分。
作文例1は、"came close to"とし、作文例2は、"got closer to"とした。
goとcomeのどちらを使うかの問題は以前にも取り上げたが、「私」と「あなた」の間でのやり取りの場合、この両者が近づく状況ならcomeを、そうでない場合はgoを使うと覚えておけば間違いない。
日本語では、「私」が主語の場合、「私」の移動はすべて「行く」で表現する。
逆に「私」以外の者が「私」に近づく場合は、「来る」を、そうではない場合は、「行く」を使う。
すると、"I"が"you"のいるところに移動する場合に、日本語では「行く」を、英語では"come"を使わなければならない。
こうした状況で、日本人は"come"と"go"の使い分けを間違える。
では今回の状況ではどうか。
今回の場合、移動するのは、「私」(I)で、移動の目標は「机」(the desk)だ。日本語だと、「近づいて行く」の場合だから、「行く」しか選択の余地がない。
しかし、英語だと、陳述の相手は読者であって、「あなた」(you)ではないから、こうした場合、comeもgoも選択が可能なのだ。そして作文例2のようなgetも可能。
ただ、作文例2では、closerという比較級を使っている。これは、移動してどんどん目標に近づいていく変化を表すので、今回の状況にはふさわしくない。
今回の状況は、スノードームの中で起こっていることが把握できるところまで移動し終わったときのことなので、比較級を使う必要はない。
続いて、「ガラスの中で雪がふっている」の部分。
小説などで、過去のことを「する」または「している」と、英語の現在形、現在進行形に相当するような表現がよく使われる。
これは、場面の臨場感を増すための表現法とされている。私の考えでは、同じような表現の繰り返しを避けるという意味が大きいと考えている。
実際、警察で事故の状況の説明を求められたような場合、「〜しました」「〜していました」と、過去形、または過去進行形に相当するような表現しか使わないだろう。
しかし、これが小説の中でのことなら、「〜した」「〜していた」があまりにも連続して出てきたら、読んでいるほうとしてはその繰り返しがうっとうしくなる。
日本語では、英語のような時制がないから、視点の取り方は自由だ。そのため、時制の規制を受けずに、自由な表現が可能なのだ。
しかし英語ではそうは行かない。英語ではも「歴史的現在」と呼ばれる時制は、過去のことを現在形で表すが、その場合、一貫して現在形を使わなくてはならず、日本語のような、時制を混在させたような表現は行われない。
すると「雪がふっている」は過去進行形を使うことになる。
どちらの作文例も主語にitを使った。いわゆる天候のitなのだが、ここで天候のitを使っていいのかは疑問がある。
あくまで、スノードームの中だけの現象なので、天候のitがふさわしいかどうか。
「おばあちゃんがとんできて」の部分を作文例1は、"rushed to me"と表現した。
同じ場所を作文例2では、"dashing into my room"としている。
作文例2の作者が調べた辞書の文例では、dashの後に人物が来る例がなかったからというのが理由で"dashing into my room"としたと説明。
確かに、複数の英々辞典でもdash to somethingの文例はあっても、dash to someoneの文例はなかった。
ところが、ネット検索ではdash to someoneの例が結構出てくる。たぶん使用可能なのだと思う。
しかし、「とんできた」というのは、「走ってやってきた」としてもほとんど同じ意味なのだから、ごく普通の表現"come running"を使えば何の問題もない。
それから最後の部分、「ぼくの頭をなで」の部分を作文例1は、"touching my head"とし、作文例2は"giving me a pat on the head"としている。
ここの「頭をなでる」行為は、日本でも英語圏の国々でも、相手をほめたり、慰めたりする場合の動作として、行為の意味が共通している。
表現としては、"pat someone on the head"が標準的なので、ここもそれをそのまま使えばよい。
作文例1のような行為が、相手を慰めるための行為と理解されるかは微妙。これは、動詞にpatを使った場合でも、"pat my head"とすると、行為の意味が違ってしまうこととも関係する。
また、作文例2の"give someone a pat on the head"はもっぱら相手をほめるときに使う表現のようだ。
作文例
When I came close to the desk, I found that snow was falling in the dome. It seemed that wind was also blowing because the fir tree in the dome was swaying from time to time. Then the door of the house opened and Santa Clause came out.
"Why, Santa Clause!" shouted I.
My grandma came running to me and said patting me on the head, "Did you have a bad dream?"