掠る(かする)

台風11号、私の住む地域にはたいした被害をもたらすことなく日本海上へと過ぎ去った。
風も収まった、昨日10日の夕方6時過ぎ、堤防の道路を市の消防車が洪水警報が解除されたことを拡声器で伝えながら走っていた。
洪水警報解除って警報が出されたなんて聞いていない。解除だけ教えてもらっても意味なかろう。
こうした警報は当てにならないので、私は昨日の大雨のとき、消防車が走っていた堤防に自分の車で行き、川の様子をしばらく観察していた。
ネット上のXrainの情報とも考え合わせ、避難するかどうかは自分で決めることにしている。
今回の台風、台風の中心、つまり目の部分は当地を直撃はしなかったが、暴風域が掠(かす)っていった。
この「掠る」という言葉、てっきりこのあたりの方言だと思っていたら、ちゃんと国語辞典に出ている。
漢字による表記は「擦る」もあるようだが、これだと「こする」と読むのが普通だろう。
ところで、「掠る」の意味だが、ネットの国語辞典によると、次のようなものだった。

1 軽く触れて通り過ぎる。かすめる。「弾丸がかすった」
2 上前をはねる。「賃金をかする」
3 かすり書きにする。
4 他人のものをちょっと利用する。
5 容器の底にわずかに残っているものこそげ取る。
6 ほのめかす、におわす。

1の意味で、「かすめる」と同義のように書いてあるが、「掠める」のほうを同じ辞書で意味を調べると3番目の意味に、「すれすれを通り過ぎる」とあり、「掠る」とは意味が違う。
「弾丸が掠る」だとちょっと血が出そうだが、「弾丸が掠める」だと血は出ない。
今回の台風の場合だと、まさしく「掠って」いったのだ。
さて、辞書にあった「掠る」の意味で、2と3の意味は知らなかった。
4から6の意味は、古典からの引用なのだが、5の使い方は私は今でも使っている。他の年代、あるいは地域ではどうなのだろう。
知っているつもりの言葉でも、辞書を引くと常に新しい発見がある。
辞書というものは引いてみるものだと改めて思った。