comeとgo再び#3

状況1-aから状況1-cまでの3つの異なる状況で、共通の要素がある。
それは、いずれの状況でも、二人が現況で対話していて、その対話により、一方が行動を起こし、もう一方がその場にとどまっているということだ。
こうした状況の場合、対話者のうち、その場にとどまるほうを仮にO(オー)としておく。そしてこのOがいる地点を原点0と呼び、行動を起こすほうを動点Pと呼ぶことにする。
対話により、動点Pが行動を開始する場合、その行動が原点Pを目標とするときは、対話者のいずれの立場からも、comeで表し、原点0が動点Pの目標地点ではない行動は、いずれの立場からもgoで表す。
これが私の理解の仕方だ。
辞書などの説明は「話し手」とか「相手」などの定義がはっきりしない言葉を用いて、例文で表される状況も、要素がばらばらなものをまとめて説明しようとするため、理解が困難だ。
行動に一定の要素がある場合を、上記のような数学的モデルを用いて理解するれば、まことにすっきりとする。
上記のような理解でもう一度状況1-aと1-cを考察してみる。

○状況1-a
店に客が入ってくる。しかし、店員が店内に見当たらない。店の奥に声をかけると、奥から返事がある。
Customer: Hello. Is someone here?
Clerk: Yes, I'm (・・・).

状況1-aの場合、原点0は客がいる店の中だ。店の奥にいるClerkが店に向かって移動するからこれが動点Pになる。
目標は原点0の店の中だから、動点Pの行動はcomeになる。

○状況1-c
その日の仕事を終え、帰宅する準備をしている社員のところに、上司がやってくる。
Boss: Have you done the job for today?
Clerk: Yes. I'm (・・・) home now.
Boss: There is something to be done by today. I want you to do the job right now.

状況1-cで、これから行動を起こすのは、Clerkで、その目標地点は、Bossのいる場所ではない。したがって、この行動はgoで表す。