comeとgo再び#15

「comeとgo再び#12」の問題8の解答と解説
問題部分の再掲

1. “(・・・) home with me,” I blurt out.
2. “(・・・) back home with me. Meet my momma and my sisters.”

括弧に入る語はいずれもcome。この場合、goを入れても成り立つ。
日本人にとって分かりにくいのは、この二つの文のhomeが"me"であるHeathのhomeであって、会話の相手のCaraのhomeではない点だ。
ところが、この言い方は問題6の4.にもあったように、同じ家族の一員に帰宅を促す場合にも使う。さらに、問題7の3.にあったようにcomeの替わりにgoを入れても同じ意味になる。
このあたりが日本人には全く理解できない点だろう。
上記の文の場合、日本語にするなら、「俺のうちに来いよ」で、問題6の文、"If you (・・・) home with me, your mother will get well."の場合だと、「お兄さんが私と一緒に家に帰ったら、お母さんはきっと良くなる」となるところ。
日本語で単に「家に帰る」といったら、それは、「帰る」動作をする主語の家のことになる。だから、「家に帰れ」と相手に言ったら、当然、そのときのhomeは、相手の家のことを指す。
一方、英語で、come/go home with...と表現した場合、その家はwithの目的語になっている人物の家であって、動作を行う人物の家とは限らないのだ。
こういうことは、英和辞典や日本人が書いた英語の本はもちろんのこと、英々辞典にも全く言及はなく、たくさんの実際の使用例に出会って初めて分かることだ。
"come/go"と「来る、行く」の対応関係ですら、なかなか理解しづらいのに、"come/go home"と日本語の「帰る」との対応はさらに複雑怪奇だ。
homeが誰にとってのhome(家)なのか、日本語ならその前に「〜の」をつけて表すが、"come/go home"のhomeは副詞なのでそれができない。
名詞のhomeもあるが、これに所有格の形容詞をつける言い方は英語であまりない。「マイホーム」というのは、典型的な日本人英語だ。
次にあげるのは、小説"Brother Rabbit and the Tar Baby A Fateful Journey Through Life"の一節。
母親と姉が病気で相次いで亡くなり、子どもだった私(I)と妹(Fronie)が取り残された。別の場所に暮らす祖母と叔父さんが姉の葬式にやって来て、祖母が私に、自分のうちか叔父さんのうちか、どちらで一緒に暮らしたいか尋ねる。

Reality began to kick in. It begins to get late, and some people had started leaving. Grandma called me and said, “Son, you can go home with me or you can go home with your Uncle Eugene.” She said, “it’s left up to you”. I decided to go to Monroeville with my Uncle Eugene. I started packing my little clothes in a sack. Grandma told him I was going home with him. He came over to me and asked, “Are you going home with me”. I said, “Yes sir”. No one from his house came to the funeral, but him.

上記の引用部分の、"Son, you can go home with me or you can go home with your Uncle Eugene." の最初のhomeは祖母の家のことで、その次のhomeは叔父さんの家のことだ。
この部分を訳せば、「私の家に来るか、叔父さんの家に行くか自分で決めなさい」となる。日本語の「家に帰る」をこの部分の訳には使えない。