火星へ#2

大統領の演説、27分41秒のところで火星への旅に言及している。
私がテレビのニュース番組で耳にしたのは、まさにこの部分だったわけだ。それを聞いたときの印象は、月に到達することでも大変なのに、火星に人類を送り込むなどという話は全く現実離れしたもののように思えた。
そうは思ったものの、「人類を火星へ」の話はとても強く印象に残ったので、その後のアメリカの宇宙開発計画には、いつも注意を払うようになった。
しかし、大統領のこの演説の後、火星へ人類を送り込むという話は、アメリカの宇宙開発に関するニュースにはぜんぜん出てくることはなかった。
火星に関するニュースといえば、アメリカが盛んに探査機を打ち上げているということだけ。
アメリカの火星探査機で有名なのは1996年12月に打ち上げられたマース・パスファインダーだろう。1997年7月に火星表面への軟着陸を成功させ、着陸地点からの鮮明な画像を地球に送ってきた。
火星探査機を頻繁に打ち上げるということは、実際に人間を火星に送り込むために必要な情報収集のためとも考えられるが、単に火星のありようの調査のためで、人類を送り込むことを前提にしたものではないとも考えられる。
どちらにせよ、「人類を火星へ」という大統領の話はなんだったのかという疑問がずっと私の胸に残ったままだった。
そのうち、やっぱりブッシュ大統領のあの話は、単に宇宙開発のずっと先にある、夢物語を語ったに過ぎなかったのだと思うようになった。
ところが、ジョージH.Wブッシュ大統領の演説から15年経った、2004年1月に彼の息子のジョージWブッシュが同じワシントンD.CのNASAで行った演説で、またもや「人類を火星へ」の話が出てきたのだ。
その画像ももちろんネット上にあった。