かくも異なるものか#2

さて、悩める14歳女子への回答はどのようなものだったのか、次に引用する。

怖い怖いと思っていると枯れすすきも幽霊に見えます。私はブスだブスだと思っていると何をしてもブスに見えてしまいます。
かわいい服は買わない。化粧もしない。性格を良くしようと思わないし、勉強も頑張ろうと思わない。だって私はブスだから。「私はブス」という呪文はあなたの願望や行動にブレーキをかける悪魔のようなです。
だいたいあなたの手紙は相談文ではない。どうせ答えられないでしょう。そんなふうにこちらを拒絶している。この出口なしの洞窟から抜け出すには強い意志が必要です。簡単ではない。
でもあなたはできる。他人と比べてしまうのは、魅力的な女性になりたいという願望が人一倍強い。要するに負けず嫌いなのです。思い当たるふしはありませんか。家族や友人の一言に傷ついた。それとも男子に揶揄されたのでしょうか。死にたくなるほど勝ちたいから負けが大きな傷になる。その負のエネルギーを行動に変えたら凄まじい力を発揮するはず。
体が変化する思春期には多くの人が同じように悩みます。つまり時がたてば変化する。そこそこで割り切るのも前進。いや、そもそも思い違いの可能性だってある。未来を先取りして悩んだりしたら鬼が笑います。

回答者はSという人。肩書きには「ライター」とあった。本屋で青いバラがどうのというタイトルの本の背表紙にその名前を見た記憶がある。
ネットで、調べてみると現在51歳。プロの物書きらしい。画像検索結果もたくさん表示されるから、どういう顔立ちかも分かった。
日本女性の平均的な顔なので、思春期には相談者と同じように自分の容貌に悩んだことがあるかもしれない。相談内容の回答者にはふさわしいといえる。
で、その回答だが、おおむね大人の良識に沿った内容だろう。まあ、「自分の容貌に劣等感を持つのは誰しも同じで、そういったことに悩んでいるより、もっとほかの事に自分の注意を向け、そちらにエネルギーを集中しましょう」というような回答をするのだろうとは回答を読む前から予想していた。
この回答に相談者は納得しただろうか。私には「やっぱり大人はこんな回答しかしないのだ」という相談者の嘆息が聞こえてくる。