知性が大事#1

今日の読売新聞朝刊にイルカ追い込み漁に関する記事が出ていた。表題と記事の一部を引用する。

「残酷」批判 残る疑問 世界協会 説明なく
イルカの追い込み漁を「残酷だ」とする世界動物園水族館協会(WAZA)の警告に従い、日本動物園水族館協会(JAZA)は加盟水族館に漁で捕獲されたイルカの入手を禁じることを決めた。だが、漁がなぜ残酷なのかという疑問や不満が、漁の地元やJAZA内部にくすぶっている。JAZAからの離脱を検討する水族館も出てきた。

■映画影響か
追い込み漁を「残酷」だとして、04年秋にWAZA総会で初めて日本側への非難決議が採択されて以降、JAZAはWAZAに対し、どこが残酷なのかと問い続けてきたが、現在まで明確な回答はない。

なぜ、WAZAは「残酷」と断じたのか。JAZAによると、WAZAの討議資料では、イルカがもりで突き刺され、入り江が血で染まった様子が再三紹介されてきた。09年には、この場面を強調し、漁を批判的に描いた米映画「ザ・コーヴ」も公開された。実際には、数年前から大量出血を伴わない漁具が導入され、今ではこうした場面が見られることはない。JAZAでは、過去の映像が誤ったイメージを定着させたとみる。

記事の全文は下記のサイトで読むことができる。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150525-OYT1T50051.html?from=yartcl_popin
毎年9月に解禁になる和歌山県太地町でのイルカの追い込み漁。捕獲したイルカのうち、オスはその多くが食用として地元市場に供され、メスの多くが日本各地の水族館などにイルカショーに出すイルカ候補として供給される。
水族館へのこうした供給システムがWAZAから、「残酷」だと警告されたのだ。
このシステムのどこがどう残酷なのか、日本人の多くが首をかしげているようだ。
こうした記事を読むたび、クジラやイルカを巡る西欧先進諸国と日本との価値観の違いと、その溝が一向に埋まらないことにうんざりさせられる。
引用した記事に「数年前から大量出血を伴わない漁具が導入され、今ではこうした場面が見られることはない。JAZAでは、過去の映像が誤ったイメージを定着させてと見る」との記述がある。
大量出血しなくても、イルカを殺して食用に供することには変わりがない。欧米諸国が言う「残酷」とはイルカを殺すことや、捕獲して売り飛ばすこと自体なのであって、どのような漁法、漁具を使ったかを問題視しているのではない。
日本人にも分かりやすいようにいうなら、イルカやクジラは広大な海全体を移動して暮らす遊牧民だと思えばよい。
数家族単位で群れを作り、全世界の海を住処とする遊牧民。日本人はその遊牧民が日本近海にやって来たときに、多くの漁船を仕立てて、追い回し捕獲し、男は全員殺してその肉を食べ、女は奴隷として売り飛ばしている。これを残酷と表現せずになんと表現すればいいのか。
これが欧米流のこの問題に関するものの見方だ。
日本人からすれば、イルカは人間ではないから、以上のような譬えは適切ではないということになる。
しかし、欧米流の解釈では、イルカを含めたクジラ類は人間と同等の扱いを受けるべき動物なのだ。
なぜそうなのかについては、このブログで以前に記事にしたことがある。「イルカ漁解禁1,2」というタイトルで、次にこの記事へのリンクを付けておく。
http://d.hatena.ne.jp/eriosyce/searchdiary?word=%A5%A4%A5%EB%A5%AB%B5%F9%B2%F2%B6%D8