ホコリダニ対策

連日暑い日が続く今頃がダニにとっては快適な季節。毎年、ホコリダニが原因と思われる症状がリトーブスに生じる。
ダニは、植物体の表面にとりついて、その植物の汁を吸う。吸ったところが植物体の傷になり、変形、変色する。それだけではなく、成長が著しく阻害される。
ダニ対策としては、薬剤に頼るしかないが、ダニのほとんどは薬剤耐性を獲得している。効果的にダニを殺滅する薬剤があったとしても、連用するとすぐ効かなくなる。
ではどうするかというと、アーリーセーフという植物油が主原料の薬剤を使う。
これは、薬剤の薬理作用でダニを殺すのではなく、昆虫やダニの呼吸器官である気門を物理的に塞いで、窒息させるというもの。物理作用で殺すのだから、耐性が生じる可能性はない。
冬場にカイガラムシ対策として散布するマシン油も原理は同じ。
ところで、マシン油は夏場の散布には注意が必要だ。それは、ダニやカイガラムシを殺す作用が、裏目に出るから。
つまり、マシン油は散布した葉の気孔を塞いでしまい、そのため、蒸散作用ができなくなった葉が枯れてしまう。
葉の温度調節や二酸化炭素の取り込みに重要な働きをする気孔がふさがれたのでは、葉は、枯れるしかない。
それでは、似たような働きでダニを殺すアーリーセーフを、リトーブスに使って大丈夫かというと、たぶん大丈夫。
というのもリトーブスは多くの多肉植物と同様、CAM植物。CAM植物の特徴は昼間の暑い時間帯には、気孔を閉じて、夜、涼しくなってから、気孔を開いて、二酸化炭素を吸収する。
ところが、日本の夏は暑すぎて、夜、リトーブスが気孔を開くほど温度が下がらないらしい。
気孔が閉じた状態で、アーリーセーフを散布しても気孔が詰まる心配ないから、薬害も生じない…はず。これが私の考え。
で、この考えを昨日の夕方実行した。昼間の35度近い気温の中で作業したくないし、思いもよらない薬害が生じるかもしれないので避けた。
リトーブスすべてに、一気に散布。
散布して一日たった株のいくつかの今日の状態。

  • 緑福来玉の寄せ植え

ちょっと前にも記事にした緑福来玉。
手前の株の皺のより方が不吉だったが、大丈夫なようだ。

  • 鳴弦玉と琥珀玉の寄せ植え

手前の琥珀玉にホコリダニによる被害が出ている。
分頭している右側二つの頭が小さくいびつになっている。
一昨年には、その左の鳴弦玉にひどい被害が出た。この鉢に毎年、被害が出るので、たっぷりと散布した。

  • 麗虹玉の寄せ植え

麗虹玉には、一昨年に被害が出た。
成長が阻害され、株が小さくなってしまっている。
枯れなかっただけましかもしれない。

画像の鉢のリトーブスには、薬害の兆候は今のところ見られない。
薬害が出ないようなら、この先、一週間に一度ぐらいの割で散布する予定。
ダニは風に乗ってやってくる。一度散布したからといって、それで安心はできないのだ。