オカちゃんとのお見合いに来た人は、セキセイインコを飼っているという。これは好条件だと思った。
元の飼い主のところでは、オカちゃんの隣のケージには、青いセキセイインコのピーちゃんがいた。
別々のところに里子に出すにしても、以前の仲間と同じようなインコのいるところが良いのではないか。そう思ったからだ。
お見合いが終わった後、色々話をしたところ、在宅で仕事をしているというので、どういう仕事か聞いてみた。
すると、企業からの依頼で翻訳をしているということだった。
これは私が以前していた仕事だ。これはなかなかない偶然だと思った。在宅での仕事だから、ペットをうちに残して外に働きに出るということがない。
ペットの中には、飼い主が出かけてしまうと、分離不安を起こすということが間々ある。
その心配がないというのも好条件だった。この段階で、私はこの応募者にオカちゃんの里親になってもらうことを心のうちで決めていた。
オカちゃんの里親になってもらうことを数日後に連絡をし、引き取ってもらう日取りも決めた。
オカちゃんを引き取ってもらう日が来る前に、ダイちゃん、マイちゃん、ツキちゃんの3羽が先に引き取られていった。
それまで、にぎやかだった部屋が急に静かになった。すると、予想しなかったことが起きた。
朝、餌やりや水替えのためにオカちゃんのケージに近づくと、オカちゃんがなにやらそわそわしている。
「どうした」と声をかけると、ケージから出たそうにしているので、ケージの扉をパタンと前に倒すと、そこに出てきて、羽を広げたり、毛づくろいをしたりした。
たくさんインコがいたときには、決してしなかったことだ。
他のインコがみんないなくなったことで、心境に変化が出たのかもしれない。
いよいよ、オカちゃんを引き取ってもらう日が来た。この日にあわせて、ペットシッターのTさんにおかちゃんのケージの清掃をしてもらうように手配しておいた。
やってきたTさんに、おかちゃんの様子の変化を見てもらったところ、Tさんも、これまでに一度も見たこともないオカちゃんの行動に驚いていた。
他のインコたちがいなくなったことがよほど寂しかったのかもしれない。
里親さんのお宅にいるセキセイインコは偶然にもピーちゃんと同じオスの青いセキセイインコだった。
連れてこられたお宅に、ピーちゃんによく似たセキセイインコがいた。オカちゃんの目はその子に釘付けになったに違いない。