サボテンの教え1

サボテンと聞いて、たいていの人は、砂漠に生えている植物と思うのではなかろうか。
そして、砂漠といえば、灼熱の太陽、乾ききった大地のイメージだ。
そこからカンカン照りの真夏の太陽のもとで、元気よく花を咲かせるサボテンというような連想につながっていく。そして私自身、サボテンに関してはその程度の感覚でサボテンを見ていた。
確かに、アメリカやメキシコの砂漠地帯を分布域とするサボテンはあるが、実はそれはサボテン全体から見ればごくわずかに過ぎない。
サボテンの種類はきわめて数が多く、その分布域は広く、したがって地理的条件、気象条件も変化に富んでいる。そのため、数あるサボテンの中には、真夏の太陽光線はもちろん、春や秋の直射日光でさえ嫌うサボテンもある。
これまで、さまざまな植物を育ててきて、たとえば、ランだと、栽培適正温度に関して、大まかに言って、3タイプぐらいに分かれ、太陽光線に対する耐性についても種類によって差があることも知っていた。

  • 精巧丸綴化


それなのにだ。あまり詳しくないサボテンのこととなると、園芸に関してまったく経験のない人とほとんど変わるところのない考え方しかしていなかったことが、サボテンのことを詳しく調べていくうちにはっきりとわかった。
どうも人間というのは、あることについて知っていても、そこからちょっとだけ分野が外れると、もう連想が働かず、不確かな知識に基づく、紋切り型の発想しか出来なくなるようだ。
サボテンだからあまり水をやらずに、太陽光線になるべく当てれば丈夫に育つなどという、間違った知識で育てたために、捨てられたサボテンは、サボテンの栽培家たちが言う「拗れた」状態に陥っていたのだ。