入試の英語1

携帯を使った新たなカンニング事件は、色々考えさせられることがある。
最初に思ったのは、こうした事件が起こりうることは事前に推測できることなのに、各大学とも何の対策もしていなかったことだ。
天変地異の事柄についてだけでなく、ここにも最悪の事態をあらかじめ想定して、それに基づいて対策を考えることが出来ないという、日本人の悪い癖が出ているようだ。
そのため、対応がいつでも後手に回る。泥縄という言葉があるが、まさしくそれだ。
機能がドンドン高くなっていく携帯は、これを悪用すれば容易にカンニングの強力な武器となる。そんなことは分かりきったことなのに、入試会場に持込を許していたというのだから、日本人のノー天気ぶりは相当なものだ。
今回の事件は、いわば公の場とも言える、ネットにその回答を求めるという、ばれることが当然の方法で行われたため、騒ぎとなったが、回答者をあらかじめ決めておいて、そのものだけに通信をすれば、ばれることもなく、合格を勝ち取れたかもしれない。
現に、大掛かりな入試カンニング事件が2004年に韓国で起きている。
他山の石ということわざもあるが、日本ではまったく意味を成さないようだ。
ところで、京大で出された和文英訳のネットでの回答が、英語と言えないような代物であることに、不正を行ったものに対してはざまを見ろと思ったが、この回答を行ったものも、こんな回答を平然と送り返すとは、これまたどういう神経かと疑った。
回答の英語は、たぶん翻訳ソフトを使ったのだろうが、翻訳ソフトが実際にはまったく使い物にならないことなど、簡単な和文英訳をさせてみればすぐ分かることなのに、それを使った回答を、複雑な構造の日本文を英訳させて、その力を見ようとする大学入試問題に使ったのだから、とんでもない回答になるのは当然なのだ。