大災厄時代1

人は一旦落ち目になると、悪いことが立て続けに起こるものだ。
今の日本は、さながら落ち目の人生のように、悪いことが立て続けにおきている。
海外で、たくさんの日本人留学生が地震の犠牲者となり、身元確認も終わっていないというのに、今度は、その足元を大きく揺らす、地震がおきた。
犠牲者の数は、地震から4日経った今も定かではない。
阪神大震災のような直下型では、建物の倒壊および、それに伴う火災が多くの犠牲者を出す原因であるが、沖合いで起こる地震は、それが引き起こす津波が犠牲者を出す原因だ。
地震による津波が、いつかはたくさんの日本人の命を奪うことになると、ずいぶん以前から予想していた。
そして、その悪い予想は当たってしまった。
私は別に予知能力があるわけではない。そうではなく、悪い予想を抱かずにはいられない予兆がこれまでにいくつもあった。
予兆の一番最初のものは、今から半世紀以上も前に起きたチリ地震だ。
地球の裏側で起きた大地震。それが引き起こした大津波が、日本の三陸海岸を襲い、142人もの犠牲者を出した。
地震発生から22時間もたって、いったいなぜ逃げられなかったのか。
その当時は子供だった私には、その理由が分からなかった。