庭スズメ3

うまく巣立ちが出来なかったり、ヒナのうちに巣から落ちたりしたスズメを、飛べるようになるまで育てて、その後、外に放したことが、2007年以前にも何度かあった。
しかし、人間が育てたスズメが、その後を無事に自然界で生きていけるかは、かなり微妙だ。
子スズメは、巣立ってからも、しばらくは親スズメの後をついて回り、親がエサをとるさまを見学する。親は、取ったエサをしばらく期間は、子スズメに食べさせて、どのエサをどこでどのように取るかを教えるのだ。
人間が育てた場合、この教育が行えない。えさのとり方の分からないスズメは、たぶん外に放した次の日には、もう餓死してしまうことが多いと考えられる。
しかし、それでも、育てたスズメを外に放つのは、わずかであるが、生き残れる可能性があるからだ。
それは、たとえ親スズメでなくても、幼さの残ったスズメが、エサを求めるしぐさをすると、エサを持ってくるスズメがいると考えられるからだ。
そう思うようになったのは、私が始めて保護し、育てたスズタンと呼んでいたスズメが、その後に保護したまだヒナだった別のスズメが、完全に飛べるようになるまで、世話をしたことを目の当たりにしたからだ。
自分のヒナでもない、まったく赤の他スズメなのに、えさを求める声をあげるヒナ、あるいは、若スズメには、えさを運んでくれるなんとも奇特なスズメがいるのだ。
そうした親切なスズメにめぐり合えれば、人間に育てられたスズメにも、生き残れるチャンスはある。