日本人の英文法25

例文1は、新華社のHPに出ていた記事からの抜粋だ。こうしたニュース記事では、現在完了形がよく出て来る。テレビやラジオのニュース番組でも同じで、すでに過去に起こったことを現在完了で表していることがよくある。
次にあげるのは、Washington Postと、New York Timesの最近の記事から抜粋した文だ。
a) Similar asteroids that have plunged to Earth hold within them amino acids.
b) In the past, giant asteroids have crashed into Earth and devastated life.
c) Iran has carried out activities relevant to the development of a nuclear device.
d) Iran has recently said it is moving some of its nuclear activity to that underground facility.
a)とb)は"As asteroid flies by, scientists will stare"、c)とd)は"U.N. Finds Signs of Work by Iran Toward Nuclear Device"という表題の記事からの抜粋である。
表題をそのまま検索窓に入力すれば、それぞれの新聞社のHPで、記事全文を読むことが出来る。
さて、上に上げたa)からd)までの文を、学校で習う現在完了のそれぞれの用法につけられた定型訳のどれを当てはめても、どうもピンと来ない。
a)とb)の文では、地球にぶつかった小惑星の話だが、小惑星の地球への衝突は一番最近でも、6500万年前のことだ。それなのに現在完了形が使われている。
現在完了形の用法のうちの完了・結果を表す文は、その動作が起こったのは、近接過去とも言うべきごく最近のことだ。
わたしは、こうした直近の過去に起こったことを言うのが現在完了形の完了または結果の用法で、比較的時間の経過したことを言うのが経験の用法だと、長い間理解していた。
完了・結果の場合、あてがわれる日本語定訳が「〜してしまった」「ちょうど〜したところだ」。そして、経験の場合は、「〜したことがある」だから、こうした考え方になってしまうのは当然だ。
そうした理解だと、現在完了形に過去を表す副詞句が使えないのはなぜだか理解できない。
そして、a)やb)のような、完了・結果でもなければ、経験というのもおかしな事に現在完了形が使われていると、これをどう解釈したらいいのかさっぱり分からない。
現在完了形に対する理解が、以前の私と同じようなものであると、答えはいつまでたっても見つからない。
上記のような文を、うまく理解するための一つのヒントになるのが次の例文だ。
例文4 I have smoked two cigarettes this morning.
例文5 I always have voted for a Republican candidate.
例文4と5のような文は、学校で使うテキストでは出てこないのではないか。
いずれも文も、完了・結果または経験、継続という学校文法流の現在完了形理解のパラダイムでは捉えられないからだ。