日本人の英文法20

今回からは、英語の時制のうち、完了形について考えてみたい。
検討するのは、完了形のうちの現在完了と、現在完了進行形の二つ。
まずは、現在完了形から取り上げる。
時制は日本人学習者にとっては、正しい理解が得にくい難題である。
理解しづらいと思っていない大方の日本人学習者にも、完了形は何だがわかりづらいと思っているはずだ。判りにくさは、過去形とどう違うかという点だ。
現在完了形は、中学で学習するが、他の時制と同じように、中学校での教え方は完了形の形式とその中心的な用法を示し、それぞれの文例に定型的訳を与えて行われる。
たとえば、以下のような説明だ。

現在完了形・・・haveまたはhas(主語が3人称単数形のとき)+動詞の過去分詞形
完了形は主として次の4つのいずれかの意味を持つ。
(1)完了・・・現在までに完了した動作を表す。
例文 I have already repaired the fence. (もう屋根を直した)
(2)過去の動作の後の、現在における結果。完了に含めて考えてもよい。
例文 He has bought a new car. (=He has a new car.) (彼は新しい車を買った)
(3)経験・・・現在までの経験。
例文 Have you ever written a letter in English? (これまで英語で手紙を書いたことがありますか)
(4)現在までの状態の継続。
例文 I have known her since her childhood. (私は子供の頃から彼女を知っている)

中学で教わるほかの時制が、それぞれ対応する日本語定訳が一つなのに対して、4つの定訳が与えられている。
そのため、この時制の文に出会った場合、どの用法に当てはまるかそれがまず問題となる。中学での英語の試験では、現在完了の文をいくつか示して、それが4つの用法のどれに当てはまるかを答えさせる問題がよく出る。