天体ショー3

  • 夜明け前に南東の空に現れたHB彗星

今はそれほどでもないが、かつては天文現象に人一倍関心があったので、これまで数々のいわゆる天体ショーをこの目で見てきた。
その中で、世紀の天体ショーというにふさわしいのは、何といってもヘール・ポップ彗星だ。
1997年の早春3月に地球に近づいた巨大彗星だが、この名前を記憶している人はそれほど多くはないだろう。記憶もなにも、聞いたこともないという人がほとんどと思う。
彗星の多くは公転周期を持ち、地球に再び近づくのだが、この彗星の公転周期は2500年以上。今度やってくるとき、人類は、そしてその文明は、まだこの地上に存在しているだろうか。
1997年の接近の時に、見逃した人にもうチャンスはない。
そして、大彗星の名にふさわしいその姿に匹敵する彗星と出会うチャンスも、まずはないだろう。

  • 二つのテールをなびかせるHB彗星

21世紀を目の前にして現れた巨大彗星は、まさしく世紀の天体ショーだったのだが、一体どれほどの日本人が、その姿を網膜に焼き付けただろうか。私の勝手な推定だが、人口の1%にも満たないと思う。
ヘール・ボップ彗星に関して、メディアの報道はそれなりにあったが、今回の金環食ほどの騒ぎ方ではなかった。
この彗星の出現は、海外では、強い関心、というより、一部では社会不安すら引き起こし、海外のあるカルト集団の信者が集団自殺した原因ともなった。日本での関心の低さとは対照的な反応だった。
本物の世紀の天体ショーである彗星の出現にはそれほどの関心を持たず、大して珍しくもない日食に大騒ぎしてみせる日本人。
この差を生むものはなんだろう。